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アキバ在住アナリストのブログvol.6          中国最新事情(下)〜デジタル景気に沸く中国の電脳街 (11/6更新)

アキバ在住アナリスト、CICOM(サイコム)取締役の石原です。

中国シリーズ2回目は、秋葉原を凌ぐほどの活況をみせる電脳街をご紹介し、売れ筋商品を通じて日系メーカーの海外戦略の問題点を考えてみたいと思います。

売り場の花形は、日本と同様、携帯電話と薄型大画面テレビです。パソコンや白物家電の消費も旺盛で、どこの店先も値引きに食い下がる客と応酬する店員で賑やかです。

電脳街の入り口にインテルの最新チップの看板
電脳街の入り口にインテルの最新チップの看板

大連の体育館の地下に広がる奥林匹克電子城
大連の体育館の地下に広がる奥林匹克電子城


店内に陳列されている製品はいずれも、中国メーカーの台頭が著しく、欧米メーカーや韓国メーカーも健闘しているなかで、日系メーカーの影が薄いのが残念です。

店内はブランド広告で顧客にアピール
店内はブランド広告で顧客にアピール


2006年7月現在、中国の携帯電話加入件数は、4億3,170万件と世界一であり、固定電話加入件数3億6,650万件を既に上回っています。2006年は7月までの1カ月平均の増加ペースが548万件に達しており、農村市場の開拓に加え、複数の携帯電話番号を持つユーザーも増えて、新たな成長期に入っているようです。それに伴い、端末機の売れ行きも好調です。人気は薄型ケータイで、サムスンの厚さ6.9ミリの機種は3,600元(約50,000円)と普及機の5倍近い価格でも大人気です。

サムスンのケータイAnycallは薄さを強調
サムスンのケータイAnycallは薄さを強調


2005年の中国の携帯電話端末販売台数は、前年比18.8%増の8,533万台と世界市場8億1,660万台の10%を既に超えており、前年比5.2%増と2年ぶりにプラスとなった日本市場4,625万台の2倍近い規模になっています。トップのノキア、2位のモトローラ、3位のサムスンが強く、中国メーカーも60社以上が参入して競争は激化しています。そのなかで日系メーカーは最先端の日本市場向けの製品を、中国の嗜好に合わせずに投入した結果、シェアは1〜2%しか確保することができず、三菱電機、東芝は大きな赤字を計上して撤退、松下、NECも大幅な戦線縮小を余儀なくされています。

中国携帯電話端末シェア(2005年)
中国携帯電話端末シェア(2005年)


中国市場で成功するには、端末の大量出荷による価格の引き下げと高機能品のタイミングのよい投入を組み合わせて、2極化した市場に適合していくことが条件となります。これには適切なマーケティング、デザイン戦略、ブランディングが欠かせませんが、日系メーカーは、こうしたMOT(技術経営)の基本ができていなかったといえるでしょう。また中国では、1999年に海外メーカーの独資によるR&D拠点の設立が認可されましたが、日系メーカーはこれにも大きく出遅れました。欧米、韓国メーカーは、いち早く一流大学と連携し現地に合わせた研究を効率的に行ない、学生のリクルートに効果を上げ、政府との関係強化にも役立てています。トップのノキアは中国に6ヶ所のR&Dセンターに600人以上の研究員を擁し、現地市場に合った機能開発のほか、第3世代、さらには第4世代の開発にも着手しています。

薄型大画面テレビは、北京オリンピックの開催を控え、買い替え需要の牽引役として離陸し始めました。新秦商務咨詢(上海サーチナ)の9月最新調査によると、中国人の所有するテレビの1位は「フィリップス(PHILIPS)」、2位が「長虹(CHANGHONG)」、3位が「創維(Skyworth)」であり、中国メーカーの躍進が目立っています。日系メーカーは4位に「松下電器産業(Panasonic)」が入るものの、5位「康佳(KONKA)」、6位「TCL」、7位「サムスン(SAMSUNG)」、8位「海爾(Haier)」、9位「海信(Hisense))となり、10位に「シャープ(SHARP)」がやっと出てきます。中国メーカーは上位10社中、6社を占めています。今後の買い替えを左右するブランドイメージ調査を見ても、トップは「フィリップス」であり、2位に「サムスン」が食い込み、3位「海爾」、4位「松下電器産業」、5位「創維」と中国メーカーが健闘しています。
薄型大画面テレビはまだまだ高値の花ですが、気になるのは、その価格差です。量販店の店頭価格を見ると、東芝(大連)のREGZA 42インチTFT液晶テレビ(42WL66C)が16,980元(約237,700円)に対し、同タイプのHaier(青島)の42インチTFT液晶テレビが14,999元(約210,000円)で、さらに2,000元(28,000円)の値引き、Skyworth(深圳)も42インチTFT液晶テレビが13,999元(約196,000円)で、同様に2,000元(28,000円)の値引きが可能です。実勢価格で日系メーカーよりも2〜3割安い状況です。ブランドに大差がない以上、この価格差は埋めきれないものがあります。

さて、こうして電脳街で新製品の価格や性能のメモをとっていると、ライバル店の偵察員と間違われ、店員に厳しく詰問されることは茶飯事です。写真を撮っていようものなら取り上げられそうになります。今回もデジカメを取り出したところ、警備員がこちらに向かってきたので、慌ててエスカレーターを駆け下りて難を逃れました。お陰でテレビ売り場の最新画像を撮りそこないました。現地調査も命懸けです。


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