CICOM BLOG

HOME > 石原昇のブログ > アキバ在住アナリストのブログvol.12          台湾ハイテク事情(上)〜PC関連機器で世界を牛耳る(1/19更新)



アキバ在住アナリストのブログvol.12          台湾ハイテク事情(上)〜PC関連機器で世界を牛耳る(1/19更新)

アキバ在住アナリスト、CICOM(サイコム)取締役の石原昇です。

秋葉原の店頭に溢れるパソコン関連製品、ブランドは様々ですが、その多くは台湾メーカーが作っているのをご存知でしょうか。先月初旬、名古屋圏の若手経営者を主要メンバーとする壺中の会のスペシャル・コーディネーターとして、台湾を訪問しました。そこで感じた台湾の底力を2回にわたってレポートします。

TSMC本社を訪問する壷中の会メンバー
TSMC本社を訪問する壷中の会メンバー

台湾は九州ほどの土地に人口は2,300万人足らず。71年に国連から脱退し多くの国と国交が途絶えるなかでも、知恵を結集し、企業を興し、ハイテク産業を発展させて世界に飛躍してきました。今や世界経済フォーラムの国際競争力レポートで第5位、米国における特許出願件数は米日独に次ぐ第4位、ブラウン大学の電子政府ランキングでは世界トップに位置するまでになっています。

個別のハイテク製品では、パソコン関連で圧倒的なシェアを誇ります。マザーボードの世界シェア98%、ノートブックパソコンの82%をはじめとして、圧倒的トップシェアを握る情報機器関連製品が多数あります。先端の研究分野でも目を見張ります。半導体のオリンピック学会とも言われるISSCC(国際固体素子回路会議)で、台湾の採択論文数は2002年にゼロでしたが、2006年は18件に達し、韓国の15件を抜き、米国、日本に次ぐまでになっています。

主要ハイテク製品にみる台湾の国際競争力
主要ハイテク製品にみる台湾の国際競争力


今回、アジアのシリコンバレーといわれる新竹サイエンスパークを視察しました。私はアナリストの時代から、何度となく足を運んでいますが、工業園区の振興策と経営者の起業家精神に、いつも刺激を受けます。オープンは1980年12月、現在まで384社が進出しています。拡張余地がなくなってきたため、台湾政府は95年に南部サイエンスパーク、2003年には中部サイエンスパークも開園しました。各園区では、ワンストップサービスの窓口があり、保税区の設定や研究開発、人材育成の奨励、機械設備の関税免除などで優遇され、土地は極めて安価なリース方式です。その優遇支援を受けた企業がスピードある決断で独自のビジネスモデルを構築しています。新竹の開園と同じ年にファンドリメーカー(半導体製造専門)のUMCが設立され、87年に今や世界トップとなったTSMCがここに拠点を構えました。

思い起こされるのは、バブル時代の日本のハイテクメーカーの慢心と大局観の欠如です。80年代末に視察した当時、TSMCがラインの稼動を始めたばかりであり、UMCとともに、64K(キロ)DRAMが細々と生産されていました。これに対し、日本の半導体メーカーは1M(メガ)DRAMを量産し、最強半導体王国を謳歌していました。帰国してすぐに、日本の半導体部門のトップに報告すると、「台湾の半導体メーカーは、今世紀中に日本と2世代ある格差を1世代に縮めればいい方だろう」と全く眼中にありませんでした。同じ頃の韓国のサムスン電子に対しても、ライバルとは考えていませんでした。この僅か3〜5年後に、ファンドリモデルが急成長を遂げ、またサムスン電子がDRAM生産で世界トップを握ることになりました。

今回の台湾訪問の同じ週に、大きなニュースが流れました。わが国唯一のDRAMメーカー、エルピーダメモリの新工場が台湾に決まったのです。広島にある自社工場のキャパシティが2007年中に満杯となるため、次の建設地が注目されていましたが、予想通り、国内ではなく海外となりました。昨年夏に坂本幸雄社長にお会いした際、「新工場の建設を巡って、国内の自治体から熱烈な誘致を受けているが、海外に比べると助成金や税金の優遇が二桁違う」と苦笑していたのを思い出します。

今回の発表では、台湾の力晶半導体(Powerchip Semiconductor Corp.)が中部サイエンスパークに建設中の最新工場を譲り受け、同社と合弁会社を設立し、その生産量の半分を確保するようです。既に技術供与と生産委託で提携関係があり、工場の早期立上げを期待できることが選定の理由ですが、優遇策の違いも明らかです。初期投資として、両社総額1,600億円からスタートし、5年後を目処に4工場(300ミリウェーハで月産24万枚)を建設すると最大1兆6,000億円の巨額な投資となります。これによりDRAM世界トップの座を奪取する計画です。

台湾ハイテク事情(下) に続く


==========
サイコム・ブレインズに関するお問い合わせ、
研修についてのご相談はこちら
URL:https://www.cicombrains.com/contact/CB_form.html
Email:hrd@cicombrains.com


▲ページTOPへ戻る