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アキバ在住アナリストのブログvol.19             イノベーションは実行段階へ〜京都の産学官連携推進会議に出席(6/25更新)

アキバ在住アナリスト、CICOM(サイコム)取締役の石原昇です。

6月1日に政府の長期戦略指針「イノベーション25」が閣議決定され、首相を本部長に全大臣が参加する「イノベーション推進本部」が設置されました。日本のイノベーションは検討から実行の段階に入りました。こうしたなか、先週末の6月16日(土)〜17日(日)に京都で「第6回産学官連携推進会議」が開催され、全国から3,000名以上が集まりました。

会場の国立京都国際会館は今年も満杯
会場の国立京都国際会館は今年も満杯

国際競争が激化し、人口が減少するなかで、わが国が持続的な成長を実現するには科学技術をはじめ社会システムや人材などのイノベーションを全国各地で起こしていく必要があります。会議の開催趣旨は、こうした視点に立って、産学官連携の推進を担うリーダーが一堂に会し、イノベーションの創出に向けた産学官連携の新たな展開を図ることです。昨年は、日本経団連の新会長に就任したばかりのキヤノンの御手洗会長が登壇し、実効ある産学連携のための3つの提案(企業と大学の人材交流の活性化、インターンシップの拡充、融合型研究拠点の整備)に感銘を受けました。

今年は、イノベーションについて、より突っ込んだ意見が白熱しました。安倍総理のビデオによるメッセージに続いて、基調講演は、高市内閣府特命担当大臣が「イノベーション〜未来をつくる、無限の可能性への挑戦〜」と題して、「イノベーション25」に託した思いを語りました。5月25日の有識者による最終とりまとめの発表から、さらに踏み込んで1週間で閣議決定にもちこみ、政府のコミットメントをより明確にした経緯が明かされました。

イノベーション創出のため産学官の本格的協働を主張
イノベーション創出のため産学官の本格的協働を主張


続いて、東芝の岡村会長が「21世紀のイノベーションと産学官連携への期待」をテーマに特別講演をしました。20世紀のイノベーションは物の豊かさを求めて発展したが、21世紀はその反動で発生した環境破壊や資源枯渇などの負の遺産を解決し心の豊かさを目指すべきだと提唱。そして東芝のイノベーションへの具体的取組みを明快に示しました。96年から2003年までは、経営の仕組みの変革、企業風土・文化の変革、事業構造の変革の3つを柱とした「経営のイノベーション」により復活を果たしました。現在は、脱コモデティ商品をめざして価値を創造するためのプロセス革新を進めています。特徴的なのは、2004年以降の中期計画をもとに現状の外挿と2010年以降の成長の糧を見据えた将来からの内挿による「バリューイノベーション」を策定していることです。この流れからみると、何故今、フラッシュメモリの巨額投資を続行し、原子力事業大手のウェスチングハウスを買収したかがよく判ります。さらに生産プロセスのみでなく開発プロセスや営業プロセスも融合した「i cube」と呼ぶ「プロセスイノベーション」を進めていることも新味があります。

社長時代からアナリストインタビューでお世話になっています
社長時代からアナリストインタビューでお世話になっています


午後からは、4つの分科会、「イノベーション」、「地域から世界を目指す地域クラスターの強化」、「第2期を迎える大学の知的財産戦略」、「求められる高度理工系人材」に分かれてパネルディスカッションが活発に行われました。私は第1分科会の「イノベーション」の議論に参加しました。主査はユビキタス実証実験委員会でお世話になっている東大の坂村健教授、パネリストは秋葉原の仕掛け人である東大の妹尾教授、また元会津大学学長で長年にわたり技術アドバイスを頂いている池上宇宙開発委員会委員、東芝の岡村会長、科学技術振興機構の北澤理事など、顔見知りばかりでした。

ここで妹尾先生の主張を要約しましょう。1.「成長」に必要なインプルーブメント(既存モデルの生産性向上)と「発展」もたらすイノベーション(画期的新規モデルの創出)を明確に区別すべきである、2. イノベーションは文系・社会系の研究者の発想をもっと加えるべきである、3. 研究者だけでなくユーザー起点型イノベーションも重要である、4. イノベーションはハイリスク・ハイリターンであり失敗しても学べる仕組みづくりが必要、5. 産学連携は産と学の関係性(代替、補完、相乗)を考慮すべきである、6. 人材育成は結論ではなく出発点である。当日はもちろん実証フィールドとしての秋葉原のアピールにも力が入っていました。

アキバテクノイノベーション活動を紹介
アキバテクノイノベーション活動を紹介


分科会の後には産学官連携功労者表彰が行われ、内閣総理大臣賞には東京大学の荒川泰彦教授ほかの「フォトニックネットワーク技術の研究開発 及び大学発・カーブアウト型ベンチャーの設立」、経済産業大臣賞には筑波大学の山海嘉之教授ほかの「身体機能を拡張するロボットスーツHALの開発」が選出され、こちらもお馴染みの先生の受賞で嬉しくなりました。まとめの全体会議では4つの分科会の要約とフロアとの意見交換が行われ、盛り上がってきた産学官連携の議論を来年につなげるとの座長宣言で締めくくられました。夜の交流会では科学技術分野に長年携わってきた尾身財務大臣が、「財政再建を応援して欲しい。何故なら科学技術など必要なところにお金を使うため・・・」との挨拶が大受けでした。

拙著『ロボット・イノベーション』でもHALを紹介
拙著『ロボット・イノベーション』でもHALを紹介


イノベーションは世界の大学や研究機関、先進的な企業などで研究が進められています。CICOM(サイコム)が提携しているMITスローン経営大学院は、イノベーションに関する教育プログラムで世界をリードしており、40年以上の歴史があります。わが国で5年前から推進されてきたMOT(技術経営)も、究極には、いかにイノベーションを創出していくかを体系的に習得していく教育プログラムといえるでしょう。この度、CICOMでは、従来のEMOTプログラムを、より直裁に表現するInnovation Strategy and Leadership Program (ISLプログラム)へと名称を変更しました。皆様と一緒に、イノベーションを議論し、実証研究につなげて新産業を創出して参りたいと存じます。何卒、宜しくお願いします。

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