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アキバ在住アナリストのブログvol.22             家電量販店の大再編〜秋葉原に店舗改変の地殻変動(9/30更新)  

アキバ在住アナリスト、CICOM(サイコム)取締役の石原昇です。

9月は秋葉原の電気街に激震が走りました。6日に秋葉原ダイビル向かいの旧ヤマギワ跡地に建設中だったソフマップ本店がオープン。その一方で、20日にはPCの歴史を17年間牽引してきたラオックスのザ・コンピュータ館が閉店、石丸電気も4つの店舗を閉鎖し創業来の大改装に着手しました。今、家電量販店に大再編の嵐が吹き荒れています。

「石丸電気はアキハバ〜ラ、でっかいわ!」の大処分
「石丸電気はアキハバ〜ラ、でっかいわ!」の大処分

秋葉原のパーツ通りの先に見える「ザ・コン」も閉鎖
秋葉原のパーツ通りの先に見える「ザ・コン」も閉鎖

開店したソフマップ本店の看板にはビックカメラの名が・・
開店したソフマップ本店の看板にはビックカメラの名が・・


家電量販店は、戦後に秋葉原を発祥とし、50年代から白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫のいわゆる3種の神器の普及とともに成長を遂げました。80年代から駅前を拠点とするカメラ系量販店が家電販売を拡大、90年代からは郊外型の家電量販店が進攻し、北関東からの全国展開が進み、最近はディスカウントストアも巻き込んだ合従連衡が加速しています。

国内の家電製品の出荷額は約7兆円。このうち量販店ルートは約7割を占めるに至っています。近年、薄型大画面テレビやDVDレコーダー、ワンセグ携帯などの情報機器が次々と発売されているものの、市場規模は実は、ここ10年間、ほとんど変わっていません。百貨店の総売上高も奇しくも7兆円と同規模ですが、売上の減少は止まらず、大丸=松坂屋、三越=伊勢丹など百貨店同士の相次ぐ提携が発表されています。世界的にも小売業のM&Aは活発で今年は昨年の1.5倍の16兆円を上回る見込みです。

また最近、シャープ=パイオニア、ケンウッド=日本ビクターなど上流のメーカーの提携が本格化していることも無縁ではありません。デジタル家電は商品サイクルが早く陳腐化と低価格化が著しく、高コスト体質では利益を上げることが難しくなっています。技術の補完や開発費の共通化などにより、競争力を高めることが必至となっています。

家電量販店は、規模が大きくなるほど家電メーカーに対する立場も強くなり、集客の目玉になる売れ筋商品を値下げでき、最低価格保証を掲げた安値販売、ポイントカードによるリピーターの囲い込み、メーカーからの販売員派遣を強味にできます。物流網の相互利用やオリジナル商品の共同開発も可能になります。

家電量販店業界は、全県へ出店を果たしたトップのヤマダ電機の快進撃が続いています。現在の売上高は1.4兆円を越え、流通業界全体の売上高ランキングでも、セブン&アイ・ホールディングス、イオンに次ぐ3位にまで躍進。さらに3兆円に拡大する強気の経営目標を掲げています。

9位にノジマ(1,279億円)、10位はラオックス(806億円)
9位にノジマ(1,279億円)、10位はラオックス(806億円)


ヤマダ電機は、今年6月に秋葉原のサトームセンなどを傘下に持つ経営再建中のぷれっそホールディングスを完全子会社化したほか、8月には業界7位のベスト電器の株を市場から大量取得していることが判明しました。7月には池袋のビックカメラ本店の横に大型店をオープン。ヨドバシカメラの本拠地である新宿への出店も表明しており、郊外型に加え、駅前型の店舗を強化しています。そして9月25日にディスカウントストアのキムラヤセレクトの買収を発表しました。

池袋のビックカメラ本店の横にヤマダ電機が出店
池袋のビックカメラ本店の横にヤマダ電機が出店


ヤマダ電機がターゲットとするベスト電器は、香港やシンガポールなど海外の30店舗を含む500数十店舗を擁し、さくらやを傘下に収めているものの、業績不振に苦しんでおり、9月20日に業界5位のビックカメラとの資本業務提携を発表しました。これに対しヤマダ電機はさらにベスト電器株を20%超に増やす方針を表明しています。

今後の業界再編は、ヤマダ電機とこれに対抗するグループの形成と言われていますが、一筋縄ではいかないようです。

業界2位のエディオンは、2003年に中国地方を地盤とするデオデオと中部地方を地盤とするエイデンが経営統合して発足し、さらに秋葉原の石丸電気、北陸地盤のサンキューも傘下に収めました。今年2月にビックカメラと経営統合で合意したものの、4月に破談し、現在は3%ずつの株式を相互に持ち合う緩やかな資本業務提携に留まっています。資本業務提携は、大量仕入れによりメーカーに対する価格交渉力を強め、単価を引き下げるのが最大の狙いですが、メーカーから複数の量販店が一括で仕入れるには、40%超の出資関係が必要という商慣行があり、これを巡って思惑が錯綜したようです。

今後の焦点は3位のヨドバシカメラの動向です。秋葉原や梅田に巨艦店を配するヨドバシはこれまで目立ったM&Aの動きを見せていませんが、来年のヤマダ電機の新宿への出店で正面対決が予想されます。また栃木県地盤でかつて業界首位にあった4位のコジマは低収益にあり、茨城県地盤の6位のケーズホールディングスが宮城県地盤のデンコードーを傘下に収め、ドミナントエリアを広げていているため、両社がどのような距離を置くかも注目されます。

現在、売上高3,000億円超の量販店は8社ありますが、将来は3〜4グループに集約されるとの予測が大勢を占めています。こうしたなかで、秋葉原の老舗の家電量販店は、石丸電気やラオックスを始め、秋葉原電気街振興会会長であるオノデンがライフストア館の閉鎖、激安と言う言葉を生んだロケットが家電販売から撤退など劣勢にありますが、都心の電気屋さんの細やかなサービスで生き残りに必死です。秋葉原の店舗改変から目が離せません。


秋葉原ダイビル横のナカウラ跡地には空き地がぽっかり
秋葉原ダイビル横のナカウラ跡地には空き地がぽっかり

M&Aで沈黙を守るヨドバシの出方に注目
M&Aで沈黙を守るヨドバシの出方に注目


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