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アキバ在住アナリストのブログvol.31             アフリカに光を!〜サブサハラに貢献する日本の先端技術(08年 6/30更新)  

アキバ在住アナリスト、CICOM(サイコム)取締役の石原昇です。

人類発祥の地“アフリカ”。日本からは遠い未知の大陸ながら、先月末に横浜で開催されたTICAD4 第4回アフリカ開発会議)には、各国首脳をはじめ3,000人が集まり、7月の洞爺湖サミットにつながる重要会議として世界から注目を集めました。昨年来、世界銀行グループの国際金融公社コンサルタントとして関わってきた体験を通じて、アフリカの今をご紹介します。

わが国外交史上類のない会議となったTICAD4
わが国外交史上類のない会議となったTICAD4

アフリカは石油やレアメタルなどの鉱物資源が豊富なため、近年の資源高を背景に、サブサハラ・アフリカ(アフリカ53カ国のうちサハラ砂漠以南の34カ国)は急成長を遂げています。名目のGDP成長率は、2003〜2006年の年平均が19.4%と中国の15.2%、インドの15.3%を上回る勢いです。しかしながら、今なお、紛争、疾病、飢餓、貧困、環境破壊の問題が根強く残っています。食糧の生産性が極めて低く、労働人口の65%を占める農業が収穫逓減に陥っているため、アジアの新興国に比べて物価も賃金も2倍もします。アフリカの現在の優位性が労働ではなく資源にあるので、製造業が停滞し、アジアのように成長の分配が労働にまわらず、貧困が残されているのが実情です。

企業トップも参加したアフリカ・シンポジウム
企業トップも参加したアフリカ・シンポジウム


今回のTICAD4は、「元気なアフリカを目指して−希望と機会の大陸」との基本メッセージのもと、経済成長の加速化、人間の安全保障の確立、環境問題への対処を重点として、アフリカ開発の方向性について活発な議論が行われました。本会合は福田総理が全体議長を務め、開会式の基調演説では、今後5年間の40億ドルのインフラ円借款、ODA・無償援助・技術協力の倍増、25億ドルのアフリカ投資倍増支援基金の新設等を発表しました。最終成果として、今後のアフリカ開発の取組・方向性に関する政治的意思を示す「横浜宣言」、TICADプロセスの具体的取組のロードマップを示した「横浜行動計画」、実施状況の検証を行うための「TICADフォローアップ・メカニズム」の三つの文書が公表されました。また多くの関連会議やイベントが並行して開催され、第1回野口英世アフリカ賞がグリーンウッド博士とウェレ博士に贈られました。

市民イベントではギニアの伝説的ギタリストが好演
市民イベントではギニアの伝説的ギタリストが好演


アフリカにおける日本企業の活動は、三菱商事のモザンビークでのアルミ精錬プロジェクトや住友商事のマダガスカルでのニッケル鉱山開発などの資源関連、日揮のリビアでのプラント建設や鹿島のアルジェリアでの道路建設などのインフラ関連が大規模なものです。製品出荷としては、南アフリカ向けのコマツの鉱山機械売上は1,000億円に達し、トヨタ自動車の自動車販売は22万台とトップシェアを誇っています。今回、TICAD4の会場の隣となったパシフィコ横浜では、「アフリカン・フェア2008」が開催され、国別展示コーナーとともに日本企業コーナーに多くの人が集まりました。

アフリカと日本の貿易量は中国の3分の1
アフリカと日本の貿易量は中国の3分の1


特に注目されたのは、日立建機とコマツの対人地雷除去機の実機展示でした。戦争や内戦で埋められた地雷は、現在世界83ヶ国に1億1千万個あるといわれ、今なお、毎日70人以上の命が奪われ、アフリカでは20分に1人が地雷の被害に遭っています。わずか300円の悪魔の兵器は、今も毎日20個の割合で増え続けています。開発に10年以上かけた地雷除去機はアフガニスタンで活躍し、アフリカではアンゴラに投入されています。

日立建機の対人地雷除去機は迫力の重量感
日立建機の対人地雷除去機は迫力の重量感


また住友化学の防虫剤を練りこんだ蚊帳「オリセットネット」はWTOからも称賛を浴びています。現在、世界で毎年5億人以上がマラリアを発症し、100 万人以上が命を落とすなかで、その90%はサブサハラ・アフリカに集中し、犠牲者の多くは5歳以下の幼い子供達です。マラリアによる経済損失は年間120 億ドルといわれており、アフリカの発展のためにも、マラリアの予防は不可欠です。オリセットネットは、媒介する蚊を防除するために独自技術を駆使し、その効果が5年以上持続する点が特長です。2003年からタンザニアの蚊帳メーカーに技術を無償供与し、現地での生産を拡大、雇用創出にも貢献しています。

住友化学のオリセットネットは500円で命を守る
住友化学のオリセットネットは500円で命を守る


さて世界銀行グループのイニシアティブによる「アフリカに光を」(Lighting Africa)は、サブサハラ・アフリカに暮らす2億5000万人の人々が2030年までに非化石燃料による低コストで環境に優しい照明を利用できるようにするプロジェクトです。昨年夏からスタートし、世界の400を超える企業・団体が参加しています。現在、電気のない生活をしている人は世界で17億人を数え、燃料を使った照明のための支出は年間380億ドルにも達すると推定されています。サブサハラ・アフリカでは、現在5億人が近代的なエネルギーを利用できず、農村の電気利用率はわずか2%という低い水準です。特に貧しい人々にとっては、照明のための油代は高くつき、世帯所得の10-15%を占める負担となっています。

LEDと太陽電池を組込んだ低価格の照明器具モデル
LEDと太陽電池を組込んだ低価格の照明器具モデル


そこでLED(発光ダイオード)や太陽電池などを組み込んだ低額の照明器具ができれば、油や木材を燃やす必要が無く環境保護にもなり、また夜間に露天で商売したり、魚を捕獲したり、教育ができたりして、貧困脱却の道筋をつけられます。世界の照明企業がこの新市場に展開することにより、現地の商業を活性化し、雇用創出と所得拡大を実現できます。これは貧困削減と生活の質改善による国連のミレニアム開発目標(MDGs)の達成に寄与するものです。日本が世界を主導している電気・エネルギー分野で、アフリカへの技術貢献はますます期待されています。


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