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アキバ在住アナリストのブログvol.39             半導体メーカーの大再編〜シリコンシーベルトからの鼓動(09年 2/27更新)  

アキバ在住アナリストの石原昇です。

2月に入り空前の不況が現実のものとなってきました。トヨタ自動車や日立製作所など日本を代表する企業が、今年度は数千億円の赤字に転落する見通しとなり、大規模な事業構造改革が発表されました。先端技術をリードしてきた世界の半導体メーカーも深刻な状況です。各社、軒並みキャッシュフローが大幅なマイナスに陥り、1月に独Qimonda、2月にSpansion Japanが経営破綻し、業界大再編が水面下で進行中です。こうしたなか、2月19〜20日の2日間、「シリコンシーベルトサミット2009福岡」が開催されました。

「逆風こそ成長の好機」と500人以上が福岡に集結<br />
「逆風こそ成長の好機」と500人以上が福岡に集結

今回のサミットには実行委員として関わりました。企画を立て始めた昨年春の時点では、半導体の市況は軟化していたものの、市場規模は過去最高を更新中であり、大手メーカーは巨艦工場の建設を相次いで発表していました。ところが、秋から需要が急減し、価格も平均採算点の半分以下になり、高収益を誇っていた韓国のサムスン電子でさえ、10〜12月期の半導体部門は赤字に転落しました。

秋葉原の電気街を歩いていると、半導体の価格下落を実感できます。店頭にはたくさんのメモリ製品が格安で売られ、買い時はいつかと思うほど日に日に値段が下がっています。5年前に1GBのUSBメモリを39,800円で買いましたが、昨年には同水準の製品は1000円を切り、今では300円程度(5年間で130分の1)で買うことができます。半導体産業は、過当競争に陥り易く、価格下落による工場閉鎖点の概念が乏しく、経済理論が適用しにくい産業です。

日本の半導体メーカーは90年代末から10年間にわたり、再編が進められてきました。NECと日立製作所のDRAM部門を統合したエルピーダメモリ、日立製作所と三菱電機のシステムLSI部門を統合したルネサステクノロジ、DRAM部門を売却しフラッシュメモリやシステムLSIに集中した東芝、本体から半導体部門を分社化したNECエレクトロニクスと富士通マイクロデバイス、そして昨年には沖電気工業が半導体部門を分社化しロームの資本を仰いで事実上の撤退となりました。

2000億円の赤字必至となったルネサスの説明会
2000億円の赤字必至となったルネサスの説明会

しかしながら、今回の不況はもう一段の大再編を迫っています。システムLSIでは東芝を軸にNECエレクトロニクスや富士通マイクロデバイスが水面下で統合を模索しており、ルネサステクノロジはトップマネジメントが交代し親会社などからの資本注入が検討されています。そしてDRAMでは日本に唯一残ったエルピーダメモリが台湾の力晶半導体(Powerchip Semiconductor)とその合弁会社である瑞晶電子(Rexchip Electronics)に加え、中堅のDRAMメーカー茂徳科技(ProMOS Technology)との統合を模索しています。同時に、日本と台湾の両政府からの資金投入を要請しています。これに対し、台湾プラスチックが出資する南亜科技(Nanya Technology)と米マイクロン・テクノロジーを巻き込んだ日台米の大同団結のスキームも浮上しています。

日本を含む東アジア地域(九州、韓国、上海、台湾、香港、シンガポール)を結ぶベルト地帯は、世界の半導体の約50%を生産し、約60%を消費する世界最大の市場となっています。近年は、半導体の組み込みソフトの設計拠点として成長するインドのバンガロールまでシリコンシーベルトは伸びています。この地域での産業クラスターの形成と連携はますます重要となっています。

九州からシンガポールへ連なる半導体の産業集積
九州からシンガポールへ連なる半導体の産業集積

半導体は、誕生以来、半世紀にわたって、ムーアの法則に従ってプロセスの微細化を進め、コンピュータや通信機などのアプリケーションの要求に応えてきました。7回目となる今年のサミットのテーマは「新たなアプリケーションを切り拓く半導体の進化」であり、ロボットにも適用できるMEMSセンサー、家電ネットワーク、バイオチップ、味覚センサーなどの最新研究が披露されました。また半導体は、省エネ化を支え、環境に優しいアプリケーションを提供するグリーン・エコノミーのデバイスとしての使命も担っており、これらの取り組みも報告されました。

特別講演に登壇したIBM のCTOのBernard S.Meyersonフェローは、「半導体は過去40年間で微細化を追求して100万倍の集積を果たしたが、今後は微細化ではない3次元化による高集積化やシリコンではないカーボンナノチューブなどのイノベーションが必須になる」と強調していました。このため、IBMでは20億ドル以上を投じて、ニューヨーク郊外のAlbanyにNano Tech研究拠点を設立し、大学や他企業とのアライアンスを進めています。一連のビジネスモデルは、昨年、ハーバードビジネススクールの教材、「Radical Collaboration: IBM Microelectronics Joint Development Alliance」として出版されています。

福岡は、アジア地域の中核となるシステムLSIの設計開発拠点を目指し、研究開発、人材育成、ベンチャー支援、交流連携、集積促進といった5つを柱に、8年前から「シリコンシーベルト福岡プロジェクト」を推進しています。現時点で、システムLSI開発関連企業160社が集積し(2011年度300社目標)、5000人以上のシステムLSI開発技術者が養成されています。文部科学省の知的クラスター創成事業(第2期)の支援を受け、世界レベルのクラスターへ発展することが期待されています。

中核施設の「福岡システムLSI総合開発センター」
中核施設の「福岡システムLSI総合開発センター」


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