座談会

2021.11.05

自社へのオンボーディング、社会へのオンボーディング ―2022年の新入社員研修への展望(後編)

  • b! はてぶ
小西 功二 Koji Konishi
小西 功二 サイコム・ブレインズ株式会社
ディレクター

動画と研修管理のプラットフォームが実現する、「会社に溶け込む」仕掛けづくり

  • 小西 功二
    2020年、コロナの流行と同時に世界的に急速に活用が進んだ手法に「動画」があると思います。外での活動に代わり、自宅で過ごすようになった時間を動画でのインプットや学習に充てるという人も増えました。我々も、新入社員の自律的な学習の支援や組織との接点づくりといったオンボーディング的な要素での動画活用を考えています。
    当社が提供する「ビジネスマスターズ」(※)も、リモート下で動画活用の機運が高まる中リリースされたサービスであり、新入社員の業務やチームへの適合を支援する、様々なテーマの映像教材を見放題で提供しています。また、お客様のほうで用意したオリジナルの動画を配信することもでき、自社の文化やビジョンを紹介する動画や、社長や先輩社員からのメッセージ動画などを配信することも可能です。

    ※ビジネスマスターズとは

    2,300本以上のビジネス動画を見放題で視聴でき、また、学習計画・課題提出・グループディスカッション用のチャット等、研修運営に必要な各種機能を一元管理できる学習プラットフォーム。ビジネスの基本知識・コミュニケーション・仕事術・最新ビジネストレンドなどを、人気講師のレクチャーやドラマ、1テーマ5分完結型のマイクロラーニングで学べる動画を取りそろえている他、動画と連動した実力テストも搭載する。

  • 齊藤 彩
    製造系の企業では、新入社員研修と工場見学とをセットで行う場合も多いのですが、コロナ禍でストップしてしまった見学の代わりに、「ビジネスマスターズ」上で、施設紹介の動画を配信することもできますよね。工場配属になったメンバーが現地で動画を撮影して、「この工場を紹介します」と、他拠点のメンバーに公開しても面白いと思います。本人のプレゼン力の強化にも繋がりますし、人柄なども伝わります。また、現地のメンバーしか知らない名産品や、エピソードなども交えながら紹介すると、リアリティもあるし、親しみもぐっと高まりますよね。恒例行事としてただ見学するより、よほど自社に愛着が湧く気がします。
  • 中澤 悠希也
    「ビジネスマスターズ」は、動画の配信だけでなく、自己学習や研修実施に必要な機能を一元的に提供・管理する学習プラットフォームとしても活用できます。同サービスに限りませんが、このようなプラットフォームやシステムは、特に、新入社員のきめ細やかなフォローに適していると思います。
    とあるシステム開発会社様では、LMS(Learning Management System:学習管理システム)を用いて全国各地の拠点で採用した内定者への研修をおこなっています。この研修では、内定者5名とアドバイザー1名、合わせて6名でLINEグループのようなオンライン上のグループを作り、内定式から入社前までの半年間、学習進捗の管理やコミュニケーションを行います。特徴的なのは、配属後に上司となる10年目くらいの社員がアドバイザーを務めるところです。グループごとに、目標に対する進捗を競ってメンバー間で評価しあったり、毎月人事から出題される問題についてディスカッションしたりする中で、入社前から人事や同期だけでなく上司との関係性もつくることができます。さらに、一人ではモチベーションがわかず、脱落しやすい入社前の学習活動も、互いに連絡を取りあう仕組みがあることで前向きに継続できます。非常にいい取り組みだと思います。
  • 齊藤 彩
    拠点が違ったり、感染症対策などの理由で、別々の場所にいる同僚や上司とのやりとりを頻度高くおこなう。その仲を人事が取り持つ。LMSやプラットフォームによってこのようなことがやりやすくなっていますよね。コミュニケーションの頻度を増やすことで、新入社員が社内に相談したりする心理的なハードルを下げることも可能かなと思います。
    また、「場を盛り上げる」「互いに打ち解ける」などの仕掛けを意図的に作れるところもプラットフォームの面白いところだと思います。例えば、研修で顔を合わせる前に、プラットフォーム上で「この動画を見て、疑問や感想を言い合ってください」「このお題で自己紹介をしてください」というように、動画やディスカッションボードを設置しておいて「ここがわからなかった」「私はこれが得意です」というように事前にワイワイと盛り上がってもらう。すると、研修当日に場が温まった状態でスムーズにワークが開始できたりします。
学習プラットフォームを用いた新入社員のオンボーディングの一例
  • 小西 功二
    そうそう、新入社員が会社に溶け込んでいくって、うちの会社に適合させるとか、従わせるとか、そういう一方的なものではないですよね。会社や同僚のことを知る過程で内側から湧いてくる愛着や協働の意識みたいなものだと思います。そして、その溶け込んでいく場を「実は人事側がデザインしていました」っていうのが美しいですよね。

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