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ATD国際会議ATDラーニングチームで体験した、人事としての仕事観・人間観に対する深い気づき

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座談会

2018.08.07

宮下 洋子 Youko Miyashita
宮下 洋子サイコム・ブレインズ株式会社
ソリューションユニット シニアコンサルタント

人材開発における世界最大のカンファレンスである、ATD International Conference & Exposition。今年は5月6日から4日間、アメリカ・サンディエゴで開催され、日本からも約300人が参加しました。サイコム・ブレインズは八木洋介氏をリーダーに、15名のラーニングチームを結成。今回はチームの中から江崎グリコの東野様、花王の本間様をお招きし、ATDでの印象的な体験や、そこから得た気づきなどを語っていただきました。

  • 東野 敦

    東野 敦 氏

    江崎グリコ株式会社
    グループ人事部
    人財・組織開発グループ
    兼 海外人事グループ長

  • 本間 理恵

    本間 理恵 氏

    花王株式会社
    人財開発部門 智創部 リーダー

  • 八木 洋介

    八木 洋介 氏

    株式会社people first代表取締役/
    サイコム・ブレインズ株式会社 顧問

  • 宮下 洋子

    宮下 洋子
    (進行役)

    サイコム・ブレインズ株式会社
    ソリューションユニット シニアコンサルタント

学びに行くのではなく、生み出しに行く

江崎グリコ株式会社 東野敦氏
江崎グリコ株式会社 東野敦氏
  • 宮下 洋子
    今年のATD国際会議(以下、ATD)は、過去最多の13,000人が参加しました。私は2年前にも参加したのですが、今年は特にアメリカ前大統領のバラク・オバマ氏による講演の影響もあって、開催前から例年以上に関心が集まっていたと思います。今回、サイコム・ブレインズとしては初めての試みで、八木さんをラーニングリーダーに、東野さん、本間さんをはじめとする企業の皆さんとチームで参加しました。

    この座談会では、ATDで私たちが体験したことやそこから得た気づきを、ウェブサイトをご覧の方々に共有したいと思います。まずは東野さんと本間さんから、今回参加された動機をあらためてお伺いしたいです。
  • 東野 敦
    江崎グリコ東野です。
    現在は人事部で人材開発とタレントマネジメントのシステムを担当しています。海外人事も兼任していて、北米やアジアの拠点をHRBPとしてサポートしています。弊社は海外展開に力を入れていて、全世界で人が育つ環境を支援するべく、システムの面でもグローバルなプラットフォームを入れていこう、というフェイズにあります。

    ATDに参加したのは、そういったシステムやテクノロジーの活用に関して、世界のトレンドといいますか、先進的な企業が抱える課題感を確認したいと思ったからです。グローバルな会社と課題感が共通していれば、弊社でも良いものができつつあると考えられますが、反対に大きく違っていたとしたら、今我々がやっていることはおそらく違うのだろうと考えました。
  • 本間 理恵
    花王本間です。
    人財開発部門の智創部というところで教育研修全般を担当していて、社内講師やファシリテーターの仕事をしています。「智創」という言葉には、「単なる研修屋になるのではなく、個人の叡智を結集して創造・革新を行い、個と組織を支援していこう」という思いが込められています。

    私自身、日本でもいろいろなセミナーに参加するのですが、本当はそれぞれの企業で状況は違うはずなのに、やっていることは「ダイバーシティ」とか「働き方改革」とか、金太郎飴みたいに全部同じに見えてしまって。弊社は海外での売上比率が30%を少し超えたくらいと成長途上で、そのような中で教育研修についても、日本のやり方を海外に展開するのではなく、海外から取り入れたい、という気持ちがありました。
  • 宮下 洋子
    お二人とも今回が初参加でしたが、率直なご感想としていかがでしたか?
  • 本間 理恵
    「隣の人と○○してください」みたいなペアワークが想像以上に多くて、大きいホールでもプレゼンテーターと受講者がインタラクティブなんですよね。日本だと会場の後ろから席が埋まっていきますが、ATDだと真ん中から前の方が混んでいる。そこが日本と違って面白かったです。
  • 東野 敦
    ただ座ってプレゼンを聞くだけと思っていたのに、突然ディスカッションをしたり、研修のコンテンツそのものを体感できたり、飽きることがなかったですね。周りの参加者を見ていても、アカデミックな中でも積極的に楽しもうという雰囲気がありましたし、「何かを得て帰ろう!」という貪欲な姿勢は見習わないといけないと感じました。一方で、プレゼンがつまらない時は、最初の10分くらいで皆でサーっと会場から引き揚げてしまうこともあって、それも日本とは違いました。
  • 八木 洋介
    日本人は出ていかないからね。ATDのようにプロフェッショナルが集まる場では、聞く側もハングリーですよね。
  • 宮下 洋子
    日本のHRD系のカンファレンスの場合、「こうするのが効果的なんです!」といったように、ソリューションが具体的に提示されることが多いです。そのスタイルに慣れているせいか、ATDに参加した日本人からは「仮説レベルのものが多くて、エビデンスが弱い」とか、「勉強できると思って参加したのに、余計わからなくなった」といった感想をよく聞きます。その点についてはどのように感じましたか?
  • 東野 敦
    考えさせられる、という意味ではよかったなと思います。結論が出ていないことを考えるというのは面白いですし、わからないことは八木さんにぶつけて、さらに考えることができました。日本で考えているだけではわからなかっことが、こういう場に参加して、人の話を聞いて、「日本も世界も、結構似たような課題で悩んでいるんだな」ということがわかって、少し安心したり。
  • 本間 理恵
    私もすごく脳に汗をかくというか、モヤモヤすることもありましたけど、それがよかったですね。他社のベストプラクティスが弊社でも使えてうまくいくとは限らないですし、考えさせられる方が、思考停止にならずによかったのではと思います。

    あと改めてすごいなと思ったのは、発想のスケールが私たちとは全然違うということ。日本の場合、たとえば「グローバルリーダーの育成」という言い方をしますが、ATDだとそんな言葉はなくて、「これ、もう古いんだ!」と気づいて。「日本からいかに出て行くか」とか、「海外でいかに戦うか」という発想ではなく、リーダーがグローバルを見るのは当たり前。最初から世界全体を見ているのが決定的な違いで、それを体感できたことはすごく大きかったと思います。
  • 八木 洋介
    お二人はさすがですよね。多くの日本人はソリューションを欲しがって「教えて、教えて」みたいな姿勢になってしまうけど、これって実はあまり役に立たない。そうではなくて、ATDみたいな場に行って、仮説ベースでの議論でもいいから考えて、議論して、検証する。考えるためのマテリアルをできるだけ多く得ることができればいい。

    ベストプラクティスを取り入れるというのは、既に分かっていること、平均的なこと、皆がやっていることをやるということであって、差別化にはならない。日本の企業は、人事を差別化の要因として使おうという意識が弱いんです。ベストプラクティスと言われていても、「ひょっとしたら違うかもしれない」くらいのことを考えていかないと。自分たちの課題解決のためにオリジナリティのあるプラットフォームを作っていこうと考えたら、やることも変わってきます。本間さんは「海外から取り入れたい」と言ったけど、僕はそれを取り入れる必要すらなくて、「花王HR」「花王Way」みたいなものを作り上げて、輸出していけばいいと思う。グローバルに通用するようなものを自分たちで考えて、それを世界に展開していく。そんな流れになっていくんじゃないかな。
  • 宮下 洋子
    私としては、様々な企業の方と参加したこと、そして今回八木さんがラーニングリーダーとして同行していただいたことのメリットをすごく感じました。たとえばATDではリーダーシップのセッションが1番多いのですが、どのスピーカーも少しずつ違うことを言っているんです。同じテーマなのに、なぜ違う結論になるのか。2年前に参加したときは思考がすごく拡散というか混乱してしまって。今回は毎晩のリクレクションで、モヤモヤしているところを皆で共有したり、八木さんに読み解いていただけたのが、すごくよかった。
  • 八木 洋介
    僕の仮説が当たっているかはわからないけど、「僕というスクリーンを通したら、こう見えるよ」というガイドになって、そのうえで皆さんが自分なりのストーリーを作っていく。そういう効果はあったかもしれませんね。
  • 本間 理恵
    確かに、皆のキーワードをつないでいくと、自分なりに見えてくる感じがしました。セッションは英語なので、100%は理解できないじゃないですか。だけど、皆であんなこと聞いた、こんなこと聞いたってリフレクションをして。それがすごくよかった。
  • 八木 洋介
    若い方から僕と同年代の方までいて、議論がかみ合ったり、外れていったりする中で、ジグソーパズルのようにだんだんと見えてくる楽しみを感じていましたね。そういう意味では、ATDには学びに行くのではなくて、生み出しに行ってるんだと思う。

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