アキバ在住アナリストのブログアキバの歳時記2016年
~東京文化資源区を担うポップカルチャー

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コラム

2016.12.28

石原 昇
石原 昇サイコム・ブレインズ株式会社 監査役
アキバ在住アナリスト

アキバ在住アナリストの石原昇です。年の瀬に発表された2016年の日経MJヒット商品番付。東西の横綱は、世代を超えて大ヒットしたスマホゲームの「ポケモンGO」とアニメ映画の「君の名は。」が予想通り選ばれました。ポップカルチャーの聖地アキバに関連する商品であり、若者からシニアまでスマホを片手に街を歩き回る姿や興行収入200億円を突破した映画に関する最新情報が目につきました。伝統文化の神事や先端技術の学術会議も毎月あったアキバの1年を振り返ってみましょう。

【1月】
初詣から始まる新年の神田明神。翌週には神田だいこく祭が続き、神事が目白押しです。頭から氷水を浴びて身を清める寒中禊(みそぎ)や平安時代から続く四條流庖丁儀式が行われていた神社の裏手では、今年の干支のお猿さんが愛嬌ある伝統芸を披露していました。

【2月】
秋葉原ダイビルでは、恒例となっている「第9回つくば産産学連携促進市 in アキバ」が開催されました。「食の魅力を科学する~カラダを創る 食のチカラ~」をテーマに、基調講演と事例発表が行われ,29の団体・企業がブースを出展しました。今年は5月に伊勢志摩サミットに連動し、つくばで、「G7茨城・つくば科学技術大臣会合」が開催されることもあり、入り口ではPRの幟が目を引きました。
 

【3月】
お隣の御茶ノ水のワテラスコモンホールでは、東京文化資源会議により、「オリンピック文化プログラム構想戦略ラウンドテーブル」が開催されました。「東京文化資源区」とは、東京の北東部の半径2km のエリアを指し、谷根千は町屋と路地の街並みの「生活文化資源」、上野は博物館と藝大の「芸術文化資源」、本郷は東大の「学術文化資源」、神保町は古書店街と出版社の「出版文化資源」、神田と湯島は神田明神、湯島天満宮、湯島聖堂等の江戸の伝統を引き継ぐ「精神文化資源」、そして秋葉原はマンガやアニメの「ポップカルチャー資源」が集積しています。東京2020に向けて、文化、環境、観光等の様々な視点から街としてのさらなる可能性が注目されています。
 

【4月】
日本動画協会が入居する秋葉原UDXでは、19日、「アニメビジネス・パートナーズフォーラム」が開催されました。日本のアニメ(漫画動画)は、1917年6月に浅草で公開された「なまくら刀」(別名:「塙凹内名刀之巻」はなわへこない めいとう のまき)がフィルムとして現存しており、来年100周年を迎えます。今回、協会が提案する「日本のアニメ100周年プロジェクト始動宣言。」があり、またインバウンドに向けた「アニメから始めるクールジャパン戦略」が発表されました。アニメ企業と自治体や異業種企業などのビジネスマッチングの加速が期待されます。
 

【5月】
21~22日、バンダイが仕掛けるアクションフィギュアの祭典「魂フィーチャーズ2016」がベルサール秋葉原で開催されました。ウルトラマン、仮面ライダー、ガンダム、 聖闘士星矢から、最新映画の「Marvel」シリーズ、アニメ放送中の「ばくおん!!」シリーズなど、旬なキャラクターが勢揃い。野球ではリーグ優勝した広島東洋カープに及ばなかったものの、球団マスコットとして一番人気となった東京ヤクルトスワローズの「つば九郎」の登場に会場が沸きました。
 

【6月】
世界の囲碁名人に圧勝し、自動運転やロボットにも搭載され始めたAI(人工知能)は今やブームを超えた存在となっています。3日、秋葉原ダイビルで「応用脳科学コンソーシアム2016年度キックオフ シンポジウム~脳科学と人工知能の活用によるサイエンスベースドビジネスへの展開~」が開催されました。マーケティングや研究開発における脳科学の重要性を認識し、脳科学と人工知能の融合研究とその産業応用について議論されました。

【7月】
上野の国立西洋美術館が、「ル・コルビュジエの建築作品」の1つとして、17日に日本で20件目となる世界文化遺産に登録されました。これを記念し、23日、秋葉原のはずれから上野中央通りを行進する「うえの夏まつりパレード」に、リーリーとシンシンのパンダのカップルのフロートがお目見えしました。
 

【8月】
地球の裏側のリオデジャネイロでオリンピックが連日繰り広げられるなか、11〜14日、「第1回神田明神納涼祭り」が熱く開催されました。神社の境内では、「納涼盆踊り」「絶品グルメ・ビール祭り」「Character JAPAN ヒット祈願ライブ」「インバウンドイベント」「うち水っ娘大集合!」「神楽殿ラジオ!」の6つのイベントに盛り上がりました。
 

【9月】
アキバ発の世界のアイドルグループ、AKBは今年も大活躍でした。総選挙選抜16人が歌う45枚目のシングル「LOVE TRIP/しあわせを分けなさい」はミリオンを達成し、日本に恋愛ブームを起こそうと始まった連動企画「#告れ日本プロジェクト」が話題を呼びました。3日、秋葉原UDXのサボニウス広場に、ピンクのLOVE TRIPバスの実車が登場し、試乗会が大人気でした。
 

【10月】
4年に1度のアドバンテストのプライベート展示会、「ADVANTEST EXPO 2016」 が「最先端をはかる→未来がミエル」をテーマに秋葉原UDXで開催されました。技術者やマスコミに注目されたのは、会場のAKIBA_SQUAREをいっぱいに使った自動走行車のデモンストレーション。ルーフトップにつけられた自動走行の複合型計測器「EVA100」の性能に感嘆しました。
 

【11月】
10日、秋葉原ダイビルで、「外国人から見たステキな商店街とは」をテーマに、「中小小売商業活性化フォーラム」が開催されました。第12回東京商店街グランプリの表彰の前に、人気お笑いコンビのパックンマックンが、異文化視点での商店街の魅力を、笑いを交えてまじめに語りました。訪日外国人が2400万人に迫る今年の日本のアキバならではの企画でした。
 

【12月】
栄枯盛衰が激しいアキバでは、店舗の入れ替わりも頻繁です。メイド喫茶やサブカルショップも気が付くと違う店になっています。飲食店では、カレー、ラーメン、ケバブが競っていますが、最近は、「都内一の肉祭りの街!」といわれ、新店ラッシュです。3ポンド(1350グラム)が売りのステーキ店や年間300万円の飲食パスポートを発行する焼き肉屋、行列の絶えない絶品ローストビーフ丼店など40件以上の肉系レストランがひしめいています。そうしたなかで、秋葉原UDXの竣工以来10年間営業し、この8月に閉店した24時間スーパーに代わり、20日に、福島屋「FUKUSHIMAYA TASTING MARKET」がオープンしました。食のセレクトマーケットをコンセプトとし、生産、加工、流通、販売が一体となった新業態のスーパーです。店頭には、たくさんのテーブル席が並べられ、アキバに集う人々の食生活を豊かにするスポットとして期待されます。

 

来たる2017年は年明けに米国で新大統領が就任します。フランスや韓国でも大統領選があり、中国では5年に1度の共産党大会が予定されています。ロシアは革命100周年の節目を迎え、世界は大国を中心にますます激動化するでしょう。ここ秋葉原は、世界から多くの人々が集まり、日本アニメーション100周年を迎えるポップカルチャーの聖地として、平和の文化大国をアピールする象徴でありたいと願っています。

  • 石原 昇

    石原 昇サイコム・ブレインズ株式会社 監査役/アキバ在住アナリスト

    横浜市立大学大学院修了、経営学修士。野村総合研究所のシンクタンク部門で電気通信自由化や最適物流システム構築などの政策提言に従事。主任研究員を経て、野村證券金融経済研究所で総合電機・半導体アナリスト兼グローバル・エレクトロニクスグループ・リーダーを務める。2004年にサイコム・インターナショナルに参画。2008年10月のサイコム・ブレインズ株式会社設立とともに現職に就任。著書に『経営分析・日本のトップカンパニー』、『フラッシュメモリビジネス最前線』等、監訳書に『イノベーション・パラドックス』等多数。

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