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イベントレポート

オンラインセミナー「日本の従業員エンゲージメントの実状 ~全国1万人調査の結果、見えたものとは?」 従業員にリスキリングしてもらうためには、エンゲージメントが高い状態であることが必要!?!

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2025.07.17
2025年6月26日、サイコム・ブレインズでは、「日本の従業員エンゲージメントの実状~全国1万人調査の結果、見えたものとは?」と題し、アジャイルHR社と共催セミナーを開催しました。本ページでは、その内容の一部をピックアップしてご紹介します!

セミナーレポート 図表 KV

開催イベントの概要

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Index

全国1万人エンゲージメント調査2025の調査概要と、本レポートでご紹介する従業員エンゲージメントの定義

今回のセミナーでは、人的資本経営における企業のパフォーマンスおよびキャリアのマネジメントを支援するアジャイルHRが、日本最大級の調査分析会社インテージ東京大学大学院医学系研究科(川上憲人特任教授)と共同研究・開発した「A&Iエンゲージメント標準調査」ツールを使って行った、日本全国約1万人調査の概要をご紹介いただきました。

調査期間:2025年3月10日(月)~2025年3月12日(水)
調査手法:インターネット
調査対象:全国10代~60代の男女 9,830人(インテージ マイティモニター登録者)

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さて、従業員エンゲージメントについては、いろいろな定義があり、必ずしも国際的に定義が確立されているわけではありません。
そこで、まず初めに、アジャイルHR社がインテージ社及び東京大学との徹底した調査・研究の末に定めた従業員エンゲージメントの定義をご紹介します。

従業員エンゲージメント=ワークエンゲージメント+組織コミットメント

従業員エンゲージメントは、活力、熱意、没頭といった心理が複合した、仕事から得られるポジティブで充実した心理的な状態=ワークエンゲージメントと所属した組織に対する愛着の強さ=組織コミットメントが複合したものとして構成されている

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出所: アジャイルHR社資料より

今回の調査結果で見えたこと①「組織へのエンゲージメントは、30代になると下がり、60代になると上がる」、その理由

2025年の全国調査は以下の3つの目的で実施されましたが、この調査で見えたことの中で、本セミナーでご紹介いただいた内容を、ピックアップしてご紹介したいと思います。

■2025年の日本全国約1万人調査の目的
世界的にも低いと言われる日本の従業員エンゲージメントに関して、過去2年実施した調査と同様に、その要因を分析すること
・昨年と今年を比較した従業員エンゲージメントの変化について分析すること
人材投資、DX、リモートワーク、リスキリングなどの取り組みと従業員エンゲージメントの関係について分析すること

■本調査で見えたことの中から、セミナーで紹介された内容をピックアップしてご紹介します
まず1つ目は、20代から30代になる過程において、組織へのエンゲージメント(特に組織コミットメント)が急激に下がり、60代以降で上がる(特にワークエンゲージメントが上がる)傾向がはっきりとデータに現れている、ということです。

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アジャイルHR代表取締役の松丘氏によると、個社で調査した場合にも30代が低い傾向はあるそうです。また、60代においてワークエンゲージメントが高まるというのも、個社での調査でもよくある傾向とのことです。60代は定年・再雇用で働く方が多い年代であり、それまで抱えていた重責などから解放され、目の前の仕事に打ち込めるといったことが考えられそうです。

サイコム・ブレインズでも、30代は特に転職市場からのアプローチが活発な時期で、会社における自分のポテンシャルや身の振り方を検討する年代であり、「キャリアへの迷いや悩みは従業員エンゲージメントと密接に関係する」と考えています。また、60代を迎えるシニア社員に対しても、定年までの時間をただ受け身で過ごすのではなく、自身のキャリアをどのようにしたいか考えてもらう機会提供が必要であると考えています。だからこそ、社員が自身のキャリアを自律的に考える機会と、会社が各年代の社員に期待することを伝える機会を、会社から定期的かつ積極的に提供する『キャリア開発研修<年代別>』を、従業員エンゲージメントを高める施策の1つとしてお勧めしています。

【ご参考】サイコム・ブレインズの『キャリア開発研修<年代別>』の考え方

今回の調査結果で見えたこと②「業種、勤務形態によって、従業員エンゲージメントの平均値は大きく異なる」

当社でも、特に製造業のお客様から多く、「離職率が高い」「エンゲージメントが低い」というお悩みの声を伺いますが、今回の調査でもその傾向は出ているそうです。

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本セミナーでの松丘氏の解説の通り、従業員エンゲージメントの高くなりやすい業種・仕事と高まりにくい業種・仕事がありそうです。
松丘氏からの調査結果の解説によると、研究機関やプロフェッショナルサービス(例えば会計士、税理士など)や、コンサルティング、教育業などは、「仕事を通じて、うれしいこと、達成感、貢献しているなと感じる機会が多い。あるいは、もともと社会に貢献したい、教育に携わりたい、といった思いがあってその仕事についている」といった背景から、エンゲージメント指数は高まりやすい業種・仕事と言えます。一方で、仕事内容が作業的であったり、機械に向かうものである場合には、「その仕事からエネルギーをもらっている」という感覚を得る機会は少なく、従業員エンゲージメントの指数は高まりにくい、と言えます。

エンゲージメント向上に必要な施策を検討する際には、自社の数字だけを見て悲観的にならず、まずは業界の平均値と比べて自社はどうなのか、という視点で見てみることをお勧めします。それを踏まえて、自社におけるボトルネックを見つけ、対策を検討することが大切なのではないでしょうか。

今回の調査結果で見えたこと③「勤務形態が従業員エンゲージメントと関係している?!」

今回の調査で明らかになったもう1つが、勤務形態によるエンゲージメントレベルの違いです。

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調査結果によると、出社とリモートが半々の場合が最も従業員エンゲージメントが高く、フル出社の従業員エンゲージメントが最も低いという結果が出ています。つまり、製造業や運輸業などはフル出社であることが多いため、従業員エンゲージメントは高まりにくい側面があるとも言えます。

このように、自社にとって必要な施策は何なのかを適切に検討するためには、自社の中で、従業員エンゲージメントの低さに影響を与えている要因は何なのか、業態・業種の特性なども踏まえながら解明することが非常に重要です。

今回の調査結果で見えたこと④「組織規模としての50~100人の壁」

最後に、今回の調査結果でも明らかになった、従業員エンゲージメントが低下するリスクが高まる「組織規模としての50~100人の壁」について言及しつつ、まとめに移りたいと思います。

「組織規模50~100人の壁」とは、企業や団体が成長する過程で、従業員数がその人数規模に達したときに直面しやすい経営・組織運営上の課題や変化を指す言葉です。
中小企業やスタートアップの成長過程でよく話題になるテーマですが、従業員エンゲージメントが低下する要因とも言えそうです。

■なぜ「50~100人」が壁になるのか?

1. マネジメントの限界
・創業者や経営陣、事業部のトップが全社員を直接把握・管理できなくなる
・「顔が見える関係」から「仕組みで動かす組織」への転換が必要になる

2. コミュニケーションのあり方の変化
・情報共有や意思決定のスピードが低下する
・正式な会議体や報告体制が求められる(仕事のための仕事、これまで必要のなかった社内向けの業務が増える)

3. 制度・ルールの整備が必要
・人事評価、給与体系、勤怠管理など、属人的な運用では回らなくなる
・明文化された、納得感のあるルールや制度が必要になる

4. 中間管理職の存在と、教育が必要
・プレイヤー(実務者)とマネージャーの役割分担が必要になる
・プレイングマネージャーの負担増や、マネジメントスキル不足が課題になってくる

5. 企業文化の変化
・「家族的な雰囲気」から、多様な価値観が混在する「組織」へ
・組織としての一体感をどう維持するかが問われるようになる(ミッション・ビジョン・バリューの浸透など)

■従業員エンゲージメント維持・向上のための対策例
上記のような課題、壁に対して、従業員エンゲージメントを向上させる施策として、人材育成と組織文化づくりの観点からは、例えば以下のような取り組みが考えられます。

・経営層、管理職、上司からの定期的なメッセージ発信(目標管理→ビジョンの共有)
・組織構造の見直し、部門間の連携強化
・マネジャーの育成、役割の明確化
・リーダー層のコミュニケーション力の強化
・上司と部下の信頼関係構築、社内コミュニケーションの強化
・評価制度(評価・報酬・キャリアパス)の再設計、明確化と透明化、フィードバック文化の醸成
・オンボーディングとカルチャー浸透の仕組みづくり、施策運用の仕組化
・キャリア開発支援(ジョブローテーション、スキル研修など)

当社でも、エンゲージメント向上についてご相談をいただいた場合でも、こうした様々な要因を踏まえたうえで、もっとも優先度の高い課題解決のために必要かつ効果的と思われる人材育成施策を、お客様とお話しながらご提供することを心掛けています。顕在化しているように思われる課題であっても、さまざまな他の要因が相互に影響しあっていることが多いからです。

今回の調査結果で見えたこと⑤「人的資本投資と従業員エンゲージメントの相関関係」

今回の調査結果でも相関関係が示されたように、当然のことではありますが、従業員が、会社が自分に「教育投資をしてくれている」「働きやすい環境を提供しようとしてくれている」と感じられれば、従業員エンゲージメントは高まります。

今回の調査で注目したいのは、「従業員エンゲージメントが高いほど、リスキリングに肯定的」という点です。
逆に言えば、「エンゲージメントの低い従業員は学習意欲が高まりにくい状態なので、教育投資の効果が出にくい」「エンゲージメントレベルが高いからこそ、新しいことにも前向きに、積極的に挑戦できる」ということが調査結果で示された、と読むことができるという点です。

つまり、従業員にリスキリングしてもらうためには、エンゲージメントが高い状態である必要があり、企業が人的資本への投資対効果を高めるためには、従業員エンゲージメントの維持・向上が必要不可欠であるということです。

サイコム・ブレインズのソリューション

以上のように、本セミナーでアジャイルHR社の松丘代表からご紹介いただいた第3回全国1万人エンゲージメント調査2025によって、従業員エンゲージメントと教育施策、キャリア開発支援、組織文化を連動させることの重要性が明らかになりました。

本セミナーの最後には当社ディレクター/シニアコンサルタントの小西より、エンゲージメント向上施策に関する提言(以下掲載スライド)と、当社がアジャイルHR社と共同開発したパッケージ・プログラムのご紹介をさせていただきました。

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■パッケージ・プログラム Cicom LXDまなラン『エンゲージメントを高めよう』

本プログラムは、アジャイルHR社がインテージ社および東京大学と共同開発したアセスメント『A&Iエンゲージメント標準調査』で従業員のエンゲージメントを測り、その結果から何をどのように向上させていくかという具体的な施策を立案・実践できるようになることを目的としたプログラムです。
受講期間3か月の、すぐに導入いただけるパッケージ・プログラムであり、本プログラムへの参加を通じて、
・社員が自社/自部署の現状を把握し、
・エンゲージメントを左右する要素を理解し、
・各自の立場から短期的なアクションを立案し、
・現場実践を行います。
・その実践結果を踏まえ、中長期を見据えたアクションを立案する
ことを目指します。

この他にも、ミッション・ビジョン・バリューの浸透に必要な施策や、管理職向けの研修など、様々な事例のご紹介も可能です。

当社の30年超の研修・人材育成の支援実績と、アジャイルHR社含む、各専門分野の方々とも連携しながら、貴社のご状況にそったソリューションをご提案させていただきます。ぜひ、当社コンサルタントを貴社のディスカッションパートナーとしてご相談いただければ幸いです。

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