ヘールト・ホフステード博士の
ご逝去にあたって

異文化/組織文化の世界的権威であるオランダの社会組織人類学者ヘールト・ホフステード博士が、2020年2月12日に91歳にて逝去されました。生前の偉大なる功績をたたえ、ここに深く哀悼の意を表します。

ホフステード博士が確立した国民文化に関する理論「6次元モデル」は、国境を超えたビジネスを行う際のバイブルとして、世界中の企業で活用されてきました。また、同博士の理論をもとに開発された、組織文化を診断するツール「8次元モデル」も多くの企業で活用されています。弊社は、ホフステード博士の研究をビジネスに応用し、研修やコンサルティングを提供しているHofstede Insights社と提携し、国民文化の「6次元モデル」や組織文化の「8次元モデル」を用いて異文化・組織文化のプログラムを提供してきました。

2015年の秋、弊社西田は取材のためJETROの方々とオランダ・アーネム市郊外にあるホフステード博士のご自宅を訪ねました。その際、博士はこのように述べています。

“私は確かなことは知らないということだ。学生に文化的な領域について話す時には、常に「国民文化の次元などは実在しないことを認識せよ」と言ってきた。それはテーブルのようにモノとして実在するのではない。創造物なのだ。お互いの理解の助けになるから作り上げたものである。固執する必要はない。(ジェトロセンサー2016年4月号)”

西田は、同博士の極めて謙虚なお人柄と、文化という捉えどころの難しいテーマを、データをもとに検証しようとするエンジニアらしい姿勢に強く感銘を受けたと申しております。

文化的背景の異なる人々の相互理解を促進することに尽力されてきたホフステード博士との出会いに感謝し、今後も博士の業績を広めることを通じて企業のグローバルな事業展開を支援していきたいと考えています。

2020年2月
サイコム・ブレインズ株式会社
ソリューション・ユニット
コンサルタント 福永 美保

【ヘールト・ホフステード博士の業績】

オランダのデルフト工科大学で機械工学を専攻、卒業後10年間オランダの企業で技術職および管理職として勤務。働きながら大学院に通い、フローニンゲン大学において社会心理学の博士号を取得。IBMヨーロッパにて人事管理研究部門の設立とマネジメントに携わる。ヨーロッパ経営管理研修所、ヨーロッパ経営大学院、ヨーロッパ経営高等研究所、国際応用システム分析研究所、マーストリヒト大学の組織人類学および国際経営学の教授を歴任。著作は20カ国語で出版され、論文は世界中の社会科学ならびに経営関係の雑誌に掲載されている。ヨーロッパ七カ国で名誉博士号を授与。2008年5月5日付のウォール・ストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)で、経営に最も影響力を持つ20名の思想家の1人としている。主な著書に『多文化世界—違いを学び未来への道を探る』(共著/有斐閣)など。

2015年10月 博士の書斎にて:
ヘールト・ホフステード博士(右)と弊社代表西田