文化と経営企業カルチャーを変えたい、そのための議論に必要なこと
― The Culture Factor 2019 Conference レポート①

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レポート

2019.12.24

勝 幹子
勝 幹子サイコム・ブレインズ株式会社
ディレクター/シニアコンサルタント
『The Culture Factor @Tokyo 2016』

日本企業の経営のグローバル化にともない、私たちは国内外問わず異なる文化を持った他者と接し、理解し合い、柔軟に対応し、行動や結果につなげることが、これまで以上に求められています。サイコム・ブレインズが提供する「異文化理解と適応」に関する研修では、オランダの社会人類学者で異文化・組織文化研究の世界的な権威であるヘールト・ホフステード博士の長年の研究に基づいた理論を取り入れ、ソフトな「異文化」の課題に対して、ハードな「理論に裏付けされた数字」を使ってアプローチする方法を紹介しています。

そのホフステード博士の理論をベースに、文化を経営における重要な要素として研究・コンサルティング活動を行う専門家集団「Hofstede Insights」では、「The Culture Factor」という国際会議を毎年開催しています。2019年は11月13日から3日間、ルクセンブルクで開催されました。サイコム・ブレインズから参加した2名が、セッションの内容や所感をレポートします。

▶ The Culture Factor 2019 Conference ウェブサイト

人口の半数が外国人、20万人が国外から通勤するルクセンブルク

「The Culture Factor」では、毎年世界各国から異文化・組織文化の専門家たちが集い、最新の業界動向やトレーニング現場の生の情報を交換します。今回の初日と2日目はHofstede Insightsの関係者限定でネットワーキングをしながら今後の協力体制について話し合い、最新のファシリテーションのトレンドを学びました。3日目はルクセンブルク商工会議所との共同開催で、外部の方向けにHofstede Insightsを知ってもらうことを目的とした様々なセッションが行われました。

会場近くのショッピングモールに小学生たちが作成したという展示が。
今回のテーマにピッタリなので思わずカメラに収めました。

さて、今回の開催地となったルクセンブルクですが、皆様どこにあるかご存知でしょうか? ルクセンブルクは、ベルギー、フランス、ドイツと国境を接しており、面積は日本の佐賀県ほどの広さで、約60万人が住むマイクロな小国です。この60万人のうち、ほぼ半数がルクセンブルク国籍を持たない外国人でその国籍は170を超え、さらに日中は20万人近くがドイツやフランス等の隣国からルクセンブルクに通勤してきます。公用語はルクセンブルク語、フランス語、ドイツ語の3か国ですが、英語も普通に話されています。数日間滞在しただけでも、多様な人種、言語、文化が入り混じる、まさしくコスモポリタンな空気を満喫することができました。

また、ルクセンブルクには欧州連合(EU)の機関が多く存在しますが、3日目のキーノートスピーカー、Nicolas Mackelさんが昔EU裁判所に勤めていたときのエピソードが印象的でした。それは「食堂の営業時間が12時から14時だったところ、スカンジナビアの職員からは食堂が開くのが遅すぎる(11時か11時半には食べたい)、スペインやイタリアの職員からは閉まるのが早すぎる(14時から食べ始めたい)というクレームがあり、ヨーロッパといっても一括りにできないことを実感した」というもので、会場に集まったビジネスマンの共感を呼んでいました。

このように文化の違いを日々実感しながら生活を送っているルクセンブルグの人々ですから、「幼い頃から異文化対応力が自然と身につくのだろう」と思うかもしれません。しかし、今回のカンファレンスでは、「様々な人々と日常的に仕事を進めなければならないからこそ、ホフステードの理論を活かした学習が非常に役に立つ」ということを強調していたのが印象的でした。

3日目の会場となったルクセンブルク商工会議所の講堂。
EU加盟国の旗が飾られているのが印象的でした。