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イベントレポート

2021年7月2日開催オンラインセミナー「リモート下の管理職に身につけて欲しい1on1のための5つのスキル~上司と部下の『ボタンのかけ違い』を解消する~」 「1on1狂想曲」に欠けるもの:制度設計か、コミュニケーションスキルか、部下と向き合うマインドか

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2021.07.16
小西 功二 Koji Konishi
小西 功二サイコム・ブレインズ株式会社
ディレクター / シニアコンサルタント
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去る2021年7月2日、サイコム・ブレインズでは「リモートワークを上手く回すための1on1の設計と管理職に求められる5つのスキル」をテーマとしたオンラインセミナーを開催いたしました。当日は110人を超える方々にご参加いただき、本テーマへの関心の高さが伺えました。セミナー実施後の参加者アンケートにもほぼ全員の方よりご回答をいただけました。この場を借りて御礼申し上げます。本レポートでは、オンラインセミナーの内容をあらためて振り返りつつ、セミナー前・中・後に寄せられた疑問・質問にお答えしたいと思います。

イベント概要

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45分間・原則1Wayのオンラインセミナーでのチャレンジと課題

本セミナーは45分間という短時間で実施いたしました。当社が企業様への研修提供を通じて仮説を立てた、企業内1on1ミーティングの課題およびその解決のアプローチを、特に「リモートワーク下」という状況をふまえて体系的に整理・ご提示する内容でした。アンケートの結果、95%の参加者の皆様から「満足」または「やや満足」のご回答を頂き、概ねご満足いただけたようでホッといたしました。

一方で、「既知の内容であった」「初歩的内容であった」「具体例に乏しい」というご指摘も一部からいただきました。様々な属性・背景・幅広いご関心をお持ちの参加者の皆様にご満足いただける内容を、短時間・原則1Wayでのオンラインセミナーでどこまで提供できるか、次回開催時にはさらにチャレンジしていきたいと存じます。

「1on1という名のマイクロマネジメントを行っていないか?」に多くの共感

さて、当日のアジェンダの前半では、1on1ミーティングにまつわる問題提起と、定義・目的・意義の確認、さらに、1on1の(制度)設計について、当社の見解を述べさせていただきました。現在、多くの企業様では、コロナ禍による突然のリモートシフトで不足しがちな上司・部下のコミュニケーションを、オンラインでの1on1ミーティングで補っている、というのが当社の見立てです。さらに、その実態として、「部下に任せ切れない管理職が1on1という名の“マイクロマネジメント”を行っているのではないか」というのが、当社からの問題提起でした。この問題提起に対し、アンケートでは多くの共感のコメント・感想が寄せられました。それだけ自社のリモートワーク下における1on1の取り組みに懸念や悩みを持つ企業様が多いのかもしれません。

セミナーでは1on1ミーティングのマンネリ化や形骸化が起こる理由として、1on1の根本的な意義が忘れられているのではないかという指摘の下、1対1で行われる対話の意義をあらためて問い直しました。その上で制度設計の重要性について、「何を話題とするのか」「誰と対話するのか」「どれぐらいの頻度で行うのか」の3つの観点から当社の見解を整理いたしました。

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1on1の3つの目的のうち、特に、部下が業務で経験したことの内省と概念化を深めることを意図した「1対1の対話」が重要になる

「部下を中心とした360度持ち回りの1on1」をおすすめする理由

当日は、時間の制約もあり詳しく触れられませんでしたが、1on1の設計方法の一つとしてご提案した「部下を中心とした360度持ち回りの1on1」、すなわち、面談相手を上司一人に限定しない、先輩・同僚などのチームメンバーを含めた持ち回り制の1on1は、実は私を含む当社員の実体験に基づくものです。先日、コーチングスキルの強化を目的として、当社コンサルタントがプロコーチによる複数回のトレーニングを受講したのですが、その中で、コンサルタント同士がタイトル・ポジションに関係なく、互いにコーチ役を交代しながら1on1を実施いたしました。

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この取組を通じ、スキル以外の副次的な効果として、実務ではなかなか知り得ないような、極めて個人的なキャリア観や仕事観、場合によっては人生観を知ることができ、メンバー間の相互理解が深まりました。また、「我々はどこに向かうべきか」という、いわゆるMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)が図らずとも確認でき、チームビルディングにもつながったと実感いたしました。このように、チームの関係性を深め、文化や一体感の醸成にもつながる「面談相手を固定化しない1on1」については、是非、各社でトライしていただき、その効果を体感いただきたいと思います。

心理的安全性を作るのは上司の務め

さて、アジェンダの後半では、当社が考える「管理職に求められる5つのスキル」をご提示いたしました。すなわち、「傾聴の姿勢」を中心とした、「問いかけのスキル」「コーチング」「リフレーミング」「フィードバック」の各種スキルです。アンケートでは意外にも、スキルに対するご意見・ご感想が多く、皆様の興味関心の高さが伺えました。

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アンケートに寄せられたご指摘の一つに、「上司側のみならず、部下側にもコミュニケーションスキルが求められるのでは?」というものがございましたが、ごもっともだと思います。なぜならば、1on1は上司と部下の1対1での対話の場だからです。部下側にもコミュニケーションスキルが備わっていた方が、対話の質が向上することは疑いの余地がありません。

ただ、同時に、対話をリードするのはあくまでも上司側であることは忘れてはならないと思います。なぜならば、対話の前提となる「心理的安全性」の確保は、上司の務めだからです。当社が1on1スキルの一丁目一番地に「傾聴の姿勢」を据えるのも、上司が作る「心理的安全性」が、1on1にとって極めて重要だと考えるからです。セミナー内でも繰り返し述べましたが、「傾聴」とは部下を理解しようとする「姿勢」を示すことであり、人が人と向き合う際の「思想」がにじみ出るものだと考えます。そうであるならば、やはり、対話の場づくりは、上司であるマネジャーにリードいただきたいものだと改めて思いました。

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「主体性を引き出す」という矛盾

さて、コミュニケーションスキルが、マネジャーに限らず、ビジネスパーソン全般に求められる重要スキルであることは言うまでもありません。しかし、特段意識せずとも、日常的なコミュニケーションは成立してしまうことから、多くのビジネスパーソンが、自身のコミュニケーションスキルに問題意識が及びにくい、課題として認識しづらい、という問題があります。そのような中、今回のセミナーで、1on1ミーティングにおけるNG集を示せたことは、参加者の皆様の問題意識や課題認識を呼び覚ます一助になったかもしれません。アンケートの中にも、歓迎のコメントをいただきました。

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いずれのNG例も、「傾聴の姿勢」が十分に意識できていない。オンラインでは、相手の表情・反応が見えづらいため、特に沈黙を気にして、返事・結論を急かしがちになっていないか注意が必要。

ところで、ビジネスの世界でも広く普及した「コーチング」について、本当の意味でできているマネジャーは「一握り」というのが、偽らざる当社の実感値です。1on1ミーティングの本来的な目的や意義に照らすと、コーチングスキルの重要性がより一層浮き彫りになりますが、一方で、「なんちゃってコーチング」が横行しているのが実情ではないでしょうか

なんちゃってコーチングにありがちである、「主体性を引き出す」という言い回しほど、矛盾をはらんだものはないと考えています。自戒を込めて申し上げると、そこには主体性を外発的に植え付けようとする、マネジャーのある種の「傲慢さ」が感じられます。上司から求められた瞬間に、部下の主体性は失われるからです。セミナーではこの思い違いの危険性を指摘するとともに、正しく部下の主体性を育むアプローチとして「仕事の全体観を示すこと」「部下に日々、成長実感させること」その上で「仕事の意義を問いかけていくこと」を提案いたしました。

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「沈黙」は思考と発言の促進剤

紙幅の関係で5つのスキルの全てについて言及できないのですが、セミナー内でご質問があった「面談中に沈黙が発生したときの、沈黙の活用方法」について私見を述べたいと思います。沈黙の活用をあえて5つのスキルに分類するならば「問いかけのスキル」、その中でも「深掘りのスキル」と言ったところでしょうか。なぜ「沈黙」が「深掘り」につながるのかを、以下にご説明します。

1対1での対話である1on1ミーティングにおいて、「沈黙」は発言を促す、「思考と発言の促進剤」とでもいうべき効果をもたらします。上司はこのスキルを効果的に、意図的に使っていくことが望まれます。

ただし、注意すべきは、部下にプレッシャーを与えては逆効果であるという点です。重苦しさに耐えかねて、部下が回答を焦ってしまうような「沈黙」の場合、苦し紛れに、その場しのぎの表層的な意見が出かねません。これを避けるためにはやはり、前述した「心理的安全性の確保」が重要となります。「時間をかけていいんだよ」「いつまでも待つよ」「一緒に考えるよ」というメッセージを、部下に感じさせる雰囲気づくりが重要なのです。そのためには、やはり、5つのスキルの一丁目一番地である「傾聴の姿勢」が求められるのです。

今なお思い出す、かつての上司の言葉

最後に、セミナーの締めくくりでもご紹介した話題に触れさせてください。上司と部下の対話なんて所詮、日々あぶくのように生まれては、あぶくのように消えていくものです。ただ、私自身の経験を振り返ってみた時、今なお思い出す「かつての上司の言葉」がいくつもあります。おそらく言った当人はとうに忘れているであろう「何気ない一言」かもしれませんが、今も時に私を鼓舞し、時に行動を正してくれています。「そっちじゃない、こっちだ」と。このような言葉が1on1を通じて生まれることを願っています。

  • 小西 功二 Koji Konishi

    小西 功二Koji Konishiサイコム・ブレインズ株式会社
    ディレクター /
    シニアコンサルタント

    神戸大学文学部卒業、名古屋商科大学大学院MBA。中小企業診断士。
    前職では自動車メーカーのコンサルティングファームにて、系列ディーラーの経営改⾰を⽀援。販売台数の増加、利益拡大、赤字経営からの脱却、後継者育成など幅広い支援業務に携わる。2013年、サイコム・ブレイ ンズ入社。顧客企業のパフォーマンスが向上し、「社員が元気になる」様な研修プログラムの開発・提供に力を注いでおり、人や組織がよりよく変化していく事を体感できることが最大のモチベーション。大阪府堺市出身、趣味は映画鑑賞と車の運転。年に一度は10日間の一人旅に出ている。

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