リーダーシップ あなたのその1on1、実は「なんちゃって」かもしれない? ―リモートワークで差が出る1on1ミーティング成功の秘訣(前編)

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コラム

2021.05.31

小西 功二 Koji Konishi
小西 功二サイコム・ブレインズ株式会社
ディレクター / シニアコンサルタント

大手企業を中心にリモートワークが浸透する中、上司と部下の1on1ミーティングの機会が増えています。育成手段としての1on1の有効性はコロナ以前から注目されていましたが、リモートワークへの強制シフト・オンライン面談の普及とも相まって、ますます一般化した感があります。
一方で、1on1ミーティングを運用する企業様や個々の管理職の方々と接していると、リモートワーク下でプロセスが見えなくなった分、部下をマイクロマネジメントするために1on1を実施しているのでは?と思われるような状況をよくお見掛けします。その結果、上司部下ともに「1on1疲れ」しているのではないかと懸念しています。
今回のコラムでは、今ますます注目される1on1について、成功のために重要となるポイントとスキルをあらためて整理すると共に、リモートワーク下ならではの留意点を解説いたします。

「1対1」で「頻度高く」の本来の意味をもう一度確認しよう

まず、はじめに明確にすべきは1on1実施の目的です。一般的に、1on1は「部下の業務遂行や目標達成をサポートしながら本人の成長を促す」ために行うとされています。ポイントは「部下のための時間であること」「本人の成長につながること」そして「1対1での対話が必要であること」です。とりわけ三つ目はあらためて皆さんに問い直したいポイントであり、1対1の対話による何らかの効果を期待していない限り、手段として1on1を選ぶ必要はありません。

1対1の対話で期待される効果に「内省促進」と「言語化」があります。仕事の中での経験を単なる経験のまま終わらせないためには、内省を通じて経験を抽象化・概念化し、最終的には言語化させる必要があります。言語化できた教訓は、別の機会に再度活かすことができる、つまりパフォーマンスの再現性を高めることができます。この経験学習モデルを回すことで、部下のビジネスパーソンとしての成長を促します。

さて、1on1は上記の3要件「部下のための時間」「成長促進」「1対1の対話」を満たしている必要がありますが、ミーティングのテーマについては部下の課題やニーズに応じて決めていけばよいと考えます。例えば、「日常業務の問題解決のサポート」「半期ごとの人事評価のフィードバック」あるいは、「将来のキャリア設計のサポート」といった様々なテーマが考えられます。ただし、目的やテーマを明確にしないまま、「毎週月曜日にやると決めているから」というような理由で漫然と実施することは望ましくありません。「本日の1on1は何を目的としているか」と「本日の1on1でどこまで話を進めるのか」について、あらかじめ上司と部下との間で合意が取れているとよいでしょう。

次に、1on1実施の頻度ですが、目的・テーマ・対象が明確になっていれば、おのずと適切な頻度も決まります。例えば、新人のタスク管理であれば「朝と夕方」、若手に対する数字目標の管理であれば「週始めと週半ば」、中堅に対するキャリア支援であれば「四半期に1度」というイメージで、PDCAのPとCを1on1を通じて行います。ただし、大前提として1on1の目的は部下の育成・成長ですから、四半期に1度よりも少ない頻度ではあまり大きな効果は期待できません。特に、ちょっとした会話の機会が失われがちなリモートワークにおいては、短時間のコミュニケーションを高い頻度で取ることが望ましいでしょう。また、毎回面談のテーマを変えるよりも、継続性がある方が対話に深みが出てくるかもしれません。