• HOME
  • オピニオンズ
  • 経営に資するダイバーシティ推進。人事はもっとオーナーシップを発揮できる

タレントマネジメント 経営に資するダイバーシティ推進。人事はもっとオーナーシップを発揮できる ―これまでの女性を中心としたダイバーシティ推進の振り返りから、タレントマネジメントの本質へ(後編)

  • b! はてぶ

対談

2021.04.19

齊藤 彩 Aya Saito
齊藤 彩サイコム・ブレインズ株式会社
ソリューションユニット / コンサルタント

2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%に引き上げる──政府が打ち出した女性活躍推進の目標、いわゆる「202030」は達成されず、2030年へと先送りされました。管理職や役員の登用といった努力目標を達成するべく、企業は様々な取り組みをしてきましたが、果たしてこれらの活動は、経営にプラスの効果をもたらしたのでしょうか。また、すでに一定の成果を上げている企業のダイバーシティ推進担当者からは次のステップとして何に取り組めばよいか、今後の方針や施策に悩む声もお聞きします。これからの答えを紐解くカギは「タレントの可視化」にあります。今回はアセスメント活用で企業のタレントマネジメントを支援しているプロファイルズ社の福島竜治氏をお招きし、企業が今後のダイバーシティ推進のために取り組むべきことは何か、ディスカッションをしました。

福島 竜治 氏
福島 竜治氏
HRDグループ プロファイルズ株式会社 ディレクター

日系及び外資系企業での営業職のキャリアを経て、2014年より現職。企業経営者、人事責任者が抱える、多岐にわたる人材の課題解決に寄与している。世界125ヶ国に広がる海外のネットワークを駆使し、20年以上の実績を有する人材アセスメントによる課題解決の手法を取り入れ、日本のマーケットに対して情報発信を行っている。

「202030」に尽力したダイバーシティ推進室が、これから先に見据えたいこと

  • 齊藤 彩

    お客様から「女性社員の管理職・役員登用における目標達成は見えてきた。ダイバーシティ推進室としての次のミッションがわからない」「数値目標の他に、設定できる目標、成果はなんだろう」という悩みをよくお聞きします。

  • 福島 竜治

    いわゆる女性活躍推進というと、何パーセントまで女性の比率を増やそう、そのために何人登用しよう、というような話になってしまい、どうしてもイベント型になりがちです。しかし、本来のタレントマネジメントは、会社の長期的な経営戦略に基づきどのような人材を増やしていきたいのかという人事戦略の視点から行うべきです。5年後、10年後を考えて、事業本部長や役員といったポジションの人材像を協議できると、会社も一段、二段上のレイヤーで人材戦略を考えることができ、女性社員本人も先々までのキャリアパスを描けるようになります。

  • 太田 由紀

    そういう意味で、ProfileXT(以下、PXT ※注1)の良いところは採用や登用の時にとったデータが蓄積されていくところですよね。男女関わらず、広く社員にPXTを実施することで全社の人材データが蓄積されていき、それこそ、あらゆる階層や、部門においてフェアなタレントマネジメントが可能になります。

  • ※注1:ProfileXTとは

    「人材が職務にどれだけ効果的に適合するか(ジョブ・フィット)」を測定するアセスメント。回答者の「思考スタイル」「行動特性」「仕事への興味」を20の指標で測定し、組織内の特定の職務における理想的な人物像(パフォーマンスモデル)との適合性を可視化する。測定結果は、パフォーマンスモデルとの比較、採用面接ガイド、育成・指導ガイドなど13種のレポートで出力され、採用、配属、選抜、評価、育成など、タレントマネジメントの様々な局面で活用できる。

  • 福島 竜治

    人材の資質を可視化し、中長期にわたってジョブデザインをしていくことが必要なのは、女性だけに限りません。たとえば、若手や新入社員にも、将来を見据えた資質の可視化は必要です。PXTにはサクセッションプランニングにおける未来の経営人材像を決めるという使い方もあります。社長や役員の方々とディスカッションしながらパフォーマンスモデルを作るときに、直近の候補者だけではなく、若手にもアセスメントを受けてもらうと、自社がもとめる経営者像と若手とのマッチングがすぐにわかります。ある企業様では、グローバルリーダーのモデルを作り、入社前の学生に回答してもらいました。この学生が5年、10年先にグローバルリーダーになる資質がありそうかどうかを早い段階から見ることが狙いです。

「グローバルリーダー」のパフォーマンスモデルに対し、候補者がどの程度フィットしているのかの解析結果画面。PXTの回答データを用いて、特定のポジションと人材のジョブマッチ分析を行うことができる。
  • 齊藤 彩

    私が担当している大手機械メーカー様では新入社員にPXTを活用しています。入社時の配属のためにとったPXTのデータを、2年目、3年目における自己内省や、配置転換などに継続的に活用していただいています。入社して1年ぐらい経ったころにPXTのデータを見返して内省してもらうと、それが本人にとってのターニングポイントになります。これまでにつまずいたところ、その理由、これからどんなところを頑張ったらよいのか、自分で考えることができます。

  • 福島 竜治

    キャリアの早期に特性や強み、目指す方向性を明らかにすることで、本人にとって最適な配属や育成を行い、人材としてのポテンシャルを伸ばすことが可能になります。そして、社員が成長したさらにその先の選抜、昇格のフェーズでまたデータを活用していく。タレントマネジメントは時系列でつながっています。データを一回使って終わりにするのではなく、継続的に活用していくことでより高いバリューを提供できるのかなと思います。

  • 太田 由紀

    私は組織の中でデータを横展開していただきたいと思っています。大企業であればあるほど、採用、登用、育成、ダイバーシティ推進、あるいは組織開発と、それらが全て別組織でおこなわれているんですね。せっかくダイバーシティ推進室でPXTのデータを持っていても、社内でそれがシェアされない傾向があるなと感じています。非常にもったいないですよね。

RELATED ARTICLES