コンサルタントの眼成果創出の方程式を考える

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コラム

2015.11.16

小西 功二 Koji Konishi
小西 功二サイコム・ブレインズ株式会社 ディレクター / シニアコンサルタント

皆さまこんにちは。今回は、「成果創出の方程式」について考えてみたいと思います。

一般的に語られている成果創出の方程式は、『仕事の質×仕事の量=成果』です。仕事の質が10だとすると、仕事量10をこなせば100の成果が期待できることになります。変数は『仕事の質』と『仕事の量』です。

これは一つひとつの仕事に対する成果の決まり方を説いた式というよりもむしろ、組織やビジネスパーソンがあるまとまった期間中に生み出すことのできる成果の総量について語っている式だと思います。この方程式が正しいものとして、個人的な経験則をもとに考察を加えていきたいと思います。

最初に浮かぶ疑問は、『成果に対してより決定的なのは、質なのか、量なのか』ではないでしょうか。この答えは経験年数に応じて変わるような気がします。営業パーソンを例に取り考えてみましょう。仮に、商談は上手いが商談の数が少ない新人営業と、商談は下手だが商談数が多いベテラン営業の二人がいるとして、それぞれが出す成果が同じだとします。いかがでしょうか。『期待と違う』という感じがしませんか。

では、先ほどの設定が逆だとどうでしょうか。しっくりきませんか。つまり、新人営業の間は仕事量で成果を確保して、経験を重ねるほどに徐々に質も高まってくる。ベテランになれば仕事の質はもう十分なので、仕事量を抑えても一定の成果は確保できるという構図です。そうだとすると、新人は量、ベテランは質が、成果に対して決定的となります。

さらに一歩抜きん出た営業パーソンになるためには質か量のいずれかを、ライバルよりも高めることが必要です。仕事の量に相当するのは、(アポイントを取るための)架電数、訪問数、商談数、提案数、交渉数などです。限られた時間の中で仕事量を高めたいなら、効率的に時間を使う必要がありそうです。

具体的には、計画的な活動スケジュールの立案、営業ルートの効率化、(成約までに複数回の商談が求められる商材の場合)商談プロセスの進捗管理、提案書のテンプレートの活用、交渉における成功事例の共有(例えば価格交渉で優位に立てた事例における交渉準備をまねる)などをしっかりと行うことで、活動時間を効率化し、仕事の量を稼ぐことができます。こうして並べてみると仕事の基本ばかりです。やはり新人のうちは、基本をしっかりと身に付け、仕事量を増やすことにチャレンジすることが必要なのでしょう。

次に仕事の質を考えてみます。営業パーソンを例に仕事の質を一言で言い表すと、『商談プロセスを前進させる確率』となります。

どんな商材でも成約に至るまでには長短の差はあれプロセスがあるはずです。商談プロセス順に例を示すと、アポ取り電話をかけて商談を取り付けることができる確率、商談して提案書を出すことができる確率、提案書を出して商品デモを行うことができる確率、商品デモをして見積書を出すことができる確率、見積書を出して成約に至る確率、などが仕事の質に相当します。これらの確率が高いと、質が高い仕事をしていると言えるでしょう。

では、確率を高めるためには何が必要でしょうか。まず自分の営業活動をプロセスに分解する必要があります。そのうえで、自分はどのプロセスにおける前進確率が低いのか、数字で把握する必要があります。数字で把握できないと、弱点へのフォーカスとトレーニングの効果検証ができないためです。

しかしながら弱点克服は、一足飛びにはいきません。やはり、『場数を踏む』ことが重要です。つまり質を高めるには、ある程度の量をこなすことが不可欠なのです。だから、新人営業が活動量を追い求め、ベテラン営業が商談の質を追求するのは、必然なのです。

さて、ここで成果創出の方程式をもう一度眺めてみます。成果を決定づける変数は本当に仕事の質と量だけなのか、その他の変数はないのでしょうか。

第三の変数を考えるために、一般論としての『仕事の質と量のトレードオフ関係』の真偽について考えてみたいと思います。結論を先取りすると、質と量はトレードオフではありません。もしトレードオフが成立するならば成果は常に一定で、人や組織に成長はないことになるからです。

トレードオフだという人は、暗に前提を置いています。すなわち、質を高めるためにはある程度の時間を掛けなければならない、時間を掛けると量が稼げないという前提です。それともう一つ、時間軸が短期であるという前提を置いています。実はこの『時間』と『時間軸』という概念が、第三の変数を考えるヒントになると、私は見ています。

私が考える第三の変数は、『スピード』です。これには仕事そのものの処理スピードが『速い』と言う意味と、仕事を仕掛けていくスピードが『早い』と言う意味のふたつが盛り込まれています。前者は仕事の量に、後者は仕事の質に効いてくると、私は考えています。

第一に、仕事の処理スピードが速いと同じ時間でこなす仕事の量を単純に増やすことができます。第二に、常に先んじて自分から仕事を仕掛けていくことができれば、早いタイミングで修正を掛けることも容易です。つまりPDCAを高速で回すことができるということです。時間軸を短期でなく中長期で捉えれば、仕事の質は高まります。

仕事の処理スピードの向上には、ある程度の熟練が必要なので、ベテラン営業の取り組みとして適切です。一方、仕事を仕掛けていくスピードについては、新人営業こそ意識してもらいたいものです。そのように考えると、第三の変数であるスピード向上は、新人でもベテランでも取り組むことが重要だと言えるのではないでしょうか。

次回は、営業パーソンにとっての「お客様」という存在についてお話しいたします。

  • 小西 功二 Koji Konishi

    小西 功二サイコム・ブレインズ株式会社 ディレクター / シニアコンサルタント

    神戸大学文学部卒業、名古屋商科大学大学院MBA。中小企業診断士。
    前職では自動車メーカーのコンサルティングファームにて、系列ディーラーの経営改⾰を⽀援。販売台数の増加、利益拡大、赤字経営からの脱却、後継者育成など幅広い支援業務に携わる。2013年、サイコム・ブレイ ンズ入社。顧客企業のパフォーマンスが向上し、「社員が元気になる」様な研修プログラムの開発・提供に力を注いでおり、人や組織がよりよく変化していく事を体感できることが最大のモチベーション。大阪府堺市出身、趣味は映画鑑賞と車の運転。年に一度は10日間の一人旅に出ている。

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