コラム

2020.10.29

私が日本の大企業を辞めた理由 ― 外国人社員の離職を防止するために(前編)

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蒋 小敏 Xiaomin Jiang
蒋 小敏 サイコム・ブレインズ株式会社
コンサルタント

私のモヤモヤを消してくれた人事の言葉

私にとってコンサルティングという仕事は、プロジェクト毎に関わる人が異なり、日々新しい学びがあるという点で魅力的でした。そのため転職活動することを決意し、サイコム・ブレインズに入社しました。

私は一社目と同様「自分は会社から日本人と違うことができることを期待されている」という認識を強く持って就職しました。しかし、自分のどこが強みとして認められて会社に採用され、会社や同僚は私に何を期待しているのかが分からないまま、ずっと悩んでいました。そのため、私はある行動を取りました。オフィスにいる人たちに「私に対して日本人とは違うことを何か期待していますか?」と聞いて回ったのです。そうした中、私を長年の悩みから救ってくれる言葉を、専務取締役で人事担当の太田からもらうことができました。それは次のような明解な答えでした。

「あなたを外国人としては見ていません。ただ、この会社でコンサルタントとして仕事ができる人材であると判断して、採用を決めました。ですから、今後も日本人の社員と同じように取り扱います」

それまでの私は「中国人である」ということを、自分の強みや弱みとしてとらえ、日本人と比べることによって色々と相当に悩んでいました。しかし、この言葉を聞いたことで、こうした悩みは一気に吹き飛び、モヤモヤとしていた頭をスッキリとさせることができました。そのため、会社にもすぐに馴染むことができたのです。

私がこの会社にすぐに馴染むことができたもう1つの理由は、上司や周りの同僚が私のことを「一人の仲間」として受け入れてくれているところです。たまに私が中国人であることを忘れ、日本人だと勘違いしているのではないかな?と思うほど、この会社には外国人社員も日本人社員と同様に働くという文化が浸透しています。

「グローバル人材」枠として採用された外国人社員は「自分は会社から日本人と違うことができることを期待されているはず」という強い認識をもっています。そのような外国人社員が現場で日本人社員と同じ仕事内容を行うことを期待され、同じ評価軸で評価されると、自分のどこが強みとして認められて会社に採用されてたのか分からなくなり、自分の強みが発揮できないという不満を持ちます。ダイバーシティ&インクルージョンが推進される今だからこそ、企業は自分たちが採用した外国人社員への期待や評価制度などについて、日本人社員と平等に扱うのか、別の期待や評価軸を持っているのかを、採用時のみならず、配属された部署の上司や先輩からも、継続的に、明確に伝えて欲しいと思います。

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