営業力・営業組織の強化 「思い込み」が「言い訳」に変わる前に ―営業部門の”禍”の年をふりかえる

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コラム

2020.12.22

山﨑 俊樹 Toshiki Yamazaki
山﨑 俊樹サイコム・ブレインズ株式会社
ディレクター / シニアコンサルタント

2020年はコロナ禍の影響もあり、非常に環境変化の激しい一年でした。そのような中、クライアントからの営業力強化のご相談が増えてきています。お話を伺うと、コロナ禍によって案件数、売上が大きく減少する中、組織ぐるみで何をどのように強化したらよいのか悩んでいる幹部の方も多いです。私が強く感じているのは、急激な環境変化の中で生まれた悩みや課題の背景にはある種の「思い込み」があり、本質的な問題解決の妨げになっていることが多いのではないか?ということです。今回のコラムでは、困難に直面する企業が、営業力強化に取り組む上で、注意すべき「思い込み」にはどのようなものがあるのか、考えたいと思います。

思い込みその1 「コロナ不況なんだから、頑張ってもこれ以上訪問件数は増えない」

営業部門の研修では、まずはじめに、自組織の課題を講師ではなく、自分達で話し合ってもらうことが多いです。現在抱えている問題が何なのか、はじめに正しく認識できていないと、その後の、克服すべき課題、とるべき対策の検討がうまくできません。さらにこの時、問題が起こっている要因を、網羅性をもって見極めることが大事になってきます。

とある中堅企業の営業研修で、「顧客との接触回数が減少している」という問題に対する要因分析の討議を行いました。この時、参加者からは、さまざまな要因が挙げられたのですが、「コロナのせいで、訪問に応じてもらえない」「今年は予算がないと言われ、訪問するきっかけが作れない」といった、コロナや、景気悪化など、自分達以外のところに要因を見出して、他責的な意見ばかりが多く出てきました。もちろん、外部環境の厳しさは問題の一因ですが、そこで、「コロナだから」「景気がよくないから」とあきらめたり、立ち止まってしまうと、問題は解決しません。

私たちは、コロナや景気といった外部環境のコントロールはできませんが、「顧客との接触回数の減少」という問題は、やり方によっては打破できるのだという認識を強く持つ必要があります。コロナ発生後に組織・チームでおこなってきた顧客アプローチをあらためてふりかえって確認してみると、「本来必要なのに、丁寧にやってこなかったことがあった」と、気づくかもしれません。あるいは、これまで検討してこなかった、新しいやり方や、今すぐに導入できる手法が見つかるかもしれません。この点において、営業マネジャーは特に、この認識をチームメンバーに持たせ、鼓舞するという役割をもち、リーダーシップを発揮しなければいけません。

例えば、「コロナのせいで、顧客が訪問に応じない」という先ほどの例ですが、もし、会社訪問どころか、オンライン面談すら断られる場合、電話を用いた面談を打診してみるのも一つの手です。お客様によっては、オンライン面談ができる環境が整っていなかったり、社内規則でPCの使用が制限されていることもあります。そのような場合、電話での面談を提案したら、案外すんなりOKをもらえるかもしれないのです。電話では面談の代わりにならないのではいか?と思われるかもしれませんが、心配ありません。「事前に資料をメールしますので、面談の際は、開いた資料を、横に置いてご覧いただけますか」といったやり方で面談を進めれば、カメラで互いの顔を見る事以外はほぼオンライン面談を行っているのと同じと言ってもよいでしょう。また、「今年は予算がない」といった理由で、面談を断られる場合は、以前、発注いただいた製品やサービスのより良い使い方を紹介する「ウェブを使った製品勉強会」などを提案してみると良いかもしれません。コロナでしばらくの間はなにも買わないから・・・と財布のひもを固くしめているお客様も、すでに導入している製品の活用情報であれば「きいてみようかな?」という気持ちになる可能性はあります。これらの例はあくまでも、数ある方法のひとつですが、丁寧に一つひとつやり方を検討すれば、アイデアは生まれてくるものです。今までの慣習にしばられずに、思考をストップさせずに、営業マネジャーを中心に皆で工夫をしていくことが大事になります。