コラム

2020.12.22

「思い込み」が「言い訳」に変わる前に ―営業部門の”禍”の年をふりかえる

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山﨑 俊樹 Toshiki Yamazaki
山﨑 俊樹 サイコム・ブレインズ株式会社
ディレクター

思い込みその2 「目標に対して、案件化が見込めるお客様が少なすぎる」

営業研修で顧客分析のワークを実施するときは、参加者の皆さんには、自分自身が顧客になったつもりで、顧客の組織がもつ戦略、顧客の取引先の動向、顧客の競合の動向、といった、いわゆる3C分析を行ってもらうことが多いです。最近の受講者には、3C分析の結果「この顧客は見込みがありません」という結論を出す方が非常に多いのですが、このような方々をよく見てみると、既知の情報を整理するにとどまっていることが多いです。例えば、過去の面談で、お客様が課題として語っていたこと、企業ホームページや広報誌などに書かれていること、といった、過去に見聞きした情報だけを整理するやり方です。このように、すでに、誰でも見ることのできるようになった情報だけをいくら分析しても、お客様の「現在」までは見えてきません。

大切なことは、「苦しい中だからこそ、お客様は、現状を打開するための取組みを考えているはず」と、想像を働かせることです。もしかしたら、企業ホームページ上の事業紹介、製品サービス紹介にまだ反映されていないような、事業の見直しや新サービスの開発が水面下で進行しているかもしれません。営業する自分達が、それに気づかず、いつもと変わらない提案をしている中、競合他社がお客様の変化を察知して新しい提案をしていた場合、どうなるでしょうか?どこかのタイミングで一気に競合他社に乗り換えられてしまうかもしれません。

「多くの企業がコロナ禍で立ち往生している」という思い込みは禁物です。どの顧客も、果敢に新しい何かにチャレンジをし始めてると考え、想像力を働かせることが大切でしょう。そして、このような想像力を持つためには、顧客企業そのものだけでなく、世の中の動き、よく言われるところの政治・経済・社会・技術の具体的な動向や、オピニオンリーダーの言動などに敏感になっておくことも重要です。さらに、これらの情報収集、インプットを十分にした上で、あなたのお客様はどう動くかを想像し、仮説を立ててみてください。仮説をもとに、面談等でコミュニケーションを重ねることで、自身のたてた仮説を検証することができ、表には出ていない社内の実情など、一歩踏み込んだ情報を引き出すことができます。

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