コラム

2020.12.22

「思い込み」が「言い訳」に変わる前に ―営業部門の”禍”の年をふりかえる

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山﨑 俊樹 Toshiki Yamazaki
山﨑 俊樹 サイコム・ブレインズ株式会社
ディレクター

思い込みその3 「ウチの営業にはオンライン面談は合わない」

コロナ以降、特にベテラン社員の方を中心に「どうもオンライン面談は苦手」という声を聞くことが増えました。特に目的がなくとも定期的に顧客訪問するスタイルの営業をおこなってきた企業ほど、苦手意識が強いようです。(そもそも、効果的な面談以前の問題として、「今日は何かないですか?」といった目的が明確でない面談は、オンラインではアポ自体が取りづらいでしょう。)

オンライン面談を苦手と思っている方は、ぜひ自組織のメンバーを見てみてください。苦手意識が強いメンバーばかりではないかもしれません。1日に何件もオンラインで面談をしているメンバーはいませんか?もしいれば、そのメンバーのやり方を共有してもらうと良いでしょう。上手なオンライン面談のやり方、スキルを紐解き、誰もが真似できるようなガイドラインを作ってチームで展開するのも手です。

先日、これまでオンライン面談をしたことがないクライアントにお邪魔したのですが、その際、ベテラン営業の方々に「これからはオンライン面談も必要ですね」とお話しすると、顔色が曇ってしまいました。オンライン面談はウェブ会議システムの操作を覚えるのが面倒、実際に顔を突き合わせるオフライン面談に勝るものはない、といった思いが強いのかもしれません。ですが、これらは思い込みです。面談に必要な操作は決まったものが多く、すぐに慣れますし、オンラインだからこそお互いに画面に集中して話し合いができるというメリットもあります。例えば、オフラインの面談では、こちらが提案書を出して説明しているときに、見てほしいページではないところをお客様がペラペラとめくって見てしまう、といったことがありますが、一方、オンライン面談ではこちらでページをめくるので、そういう問題はありません。最近は、オンライン面談のスキルを実際に演習しながら学ぶ研修もしています。研修後にベテラン営業の人に感想を聞くと、「オフライン以上にアジェンダに集中して話を進めることができた」「操作できるか心配だったが、意外と簡単だった」といった声が多くありました。

また、オンライン面談に慣れると、営業マネジャーにとっては良いことがあります。まず、訪問件数が増えるという点です。移動時間がなく、オフィスや自宅から連続して全国のお客様を次々に訪問できるので、チーム全体の訪問件数が増えます。次に、部下の営業に同行しやすくなるため、受注の支援を強化したり、指導の機会を増やす事ができます。

今回は、営業部門が抱えがちな思い込みを3つ挙げました。皆さんの職場では、いかがでしょうか。多くの企業が急激な変化の中、なんとか乗り切ろうと、試行錯誤をしている中、ゆっくり考えるという余裕はなかったのではないでしょうか。しかし、このような思い込みはそのまま、営業部門が本質的な問題解決を考えない、行動しない、ひいては目標を達成できないことの「言い訳」に無意識に結び付けられてしまいがちです。ここで一回立ち止まって、ふりかえる時間を作ってみると良いかもしれません。

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