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コラム

2021.06.09

面談スキルは役に立つが、それだけでは解決できないこともある ―リモートワークで差が出る1on1ミーティング成功の秘訣(後編)

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小西 功二 Koji Konishi
小西 功二 サイコム・ブレインズ株式会社
ディレクター

膠着状態から脱するためのリフレーミング・スキル

さて、四つ目のスキルは「リフレーミング」です。部下との対話を進めているとき、なかなか解決策に近づいていかない、対話が深まらない、と感じることもあるでしょう。そのような時はリフレーミングのスキルを活用することをおすすめします。

リフレーミングとは、認識の枠組みを変えるアプローチです。具体的には「この取組みの、そもそもの目的・意義は何でしょうか?」「仮にあなたが社長だったらとしたら、どうしますか?」「一旦、全ての制約条件を取り払って考え直してみましょう」といった問いかけにより、対話の前進を阻んでいる固定観念やバイアスを取り払うことを指します。上の図のように、リフレーミングのテクニックには様々なものがあります。「虫の目で対象を詳細に観察する」「鳥の目で対象を俯瞰して全体像を見る」「魚の目で今後どのように展開するかの潮目を見る」という、いわゆる「3つの目」と呼ばれる視点の切り替えも、ビジネスの現場でよく使われるリフレーミングです。

上述のリフレーミングを駆使しても、部下の固定観念やバイアスを取り払えない場合は、あえて極端な問いかけを行い、部下の目を覚まさせる、という劇薬の使用もありえます。例えば、同じ失敗を何度も繰り返す新人部下に、なんど改善策を問いかけても「このやり方が一番自分に向いているんです」と繰り返すばかりで、一向に対話が深まらないケースがあるとします。そのようなときにあえて、「つまり、10年後も新入社員のやり方で業務に取り組み続けたいってことかな?」といった訊ね方をしてみましょう。通常、「そういうわけではありません」と返ってくるはずなので、そこですかさず「だとしたら、何でしょうか?」とオープン・クエスチョンで問い直します。

私は相手の価値観や感情に揺さぶりをかける問いかけのことを、“キラー・クエスチョン”と呼んでいます。文字通り、使い方を誤ると“キラー“になりかねない諸刃の剣であり、部下との信頼関係が前提となります。信頼関係が築けていない相手や、十分に対話が深まっていない段階で軽率に使用すると、部下と上司の双方が大やけどを負う可能性が高いでのでご注意ください。あらゆるアプローチを打ち尽くしてもらちが明かないときの、最後の手段と考えてください。

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