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コラム

2021.09.22

グローバルでいきいきと仕事を楽しむ。等身大の自分を最大限に活かすちょっとした方法 ~グローバル環境における自己肯定感の高め方(後編)

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加藤 円 Madoka Kato
加藤 円 サイコム・ブレインズ株式会社
シニアコンサルタント

文化の違いは良い・悪いではない。日本の常識が通じない世界で自信を持つために、効果的な手法を取り入れよう

最後に、不確実性の回避(UAI)のパートでお伝えした「想定外の場面に遭遇した時の対処力」を強化する効果的な方法を2つご紹介します。

1つ目は、物事を客観的に見るようにすることです。アメリカの心理学者アルバート・エリス氏の「ABC理論」では「ある出来事に対して私たちが喜んだり怒ったりといった感情を示すのは、その出来事自体(事象)によって決まるのではなく、その出来事を各人が自分なりにどう捉えるか(受け止め方)によって決まる」と言っています。例えば、「外国人との会議は意見がまとまらなくて大変だ」を「外国人との会議では自分の視点とは異なる意見がたくさん聞けて刺激になる」と表現を変えると感情はどのように変化するでしょうか?物事を新たな捉え方(思考の枠組み)をする、つまりリフレーミングすることで、肯定的・積極的な気持ちになりませんか?ぜひ、自己肯定感を低くする否定語は控えめに、肯定語を頻度高く使うことを意識して、物事を捉えるようにしてみてください。

2つ目は、あらかじめ物事が思い通りにいかなかった場合を想定しておくことです。例えば、「もし、プレゼンに対して答えられない質問がきたら、後で詳細をメールすると言おう」「もし、英語の会議で発言の機会をなかなか掴めなかったら、誰かの意見に対して賛成することだけでも明確に述べよう」といったように、上手くいかなくても、別のプランを用意しておけば、「どうしよう・・」と押し寄せてくる不安がもたらす負の感情を断ち切ることができます。この方法はアメリカの社会心理学者ハイディ・グラント氏が提唱した「if-thenプランニング」と言われる手法ですが、日本の常識に当てはまらない言動や想定しないような質問への準備、物事を悲観的に考えがちな時や自己肯定感が低下した状況において特に役立ちます。

ここまで、日本人の文化的価値観が自己肯定感に与える影響と、自己肯定感を高めるためにどのような手法があるか、についてお伝えしてきました。最後にお伝えしたいのは、文化的価値観の違いは良い、悪いではない、ということです。日本文化の特徴が強みとなる場合もあれば、弱みとして表れてしまうこともあります。大事なことは、個人差はあれど、私たちにはそれぞれの国民文化がプログラミングされており、それが少なからず思考や言動に影響を与えていることを知っておくということです。そのうえで自分の思考の特性や言動の背景を理解することによって、強みをさらに活かしたり、弱みと思われることを補ったり、弱みを強みに変えることができます。例えば「リスクを回避する」という日本人の思考の特徴は、変化への対応力・柔軟性に欠けるという弱みではなく、他の外国人メンバーが気づかない対処法を示したり、何かあった時にいち早く対応できる強みにもなり、意識して活かせれば、グローバルなビジネスの場で活躍する際の強力な武器にもなり得るのです。

グローバルなビジネスの場で成果を上げるには「自分はできる。その能力や価値がある」と自分を信じられるようになることが必要です。つまり、他者を知り、他者を尊重するのと同じくらい自己理解を深め、自己肯定感を高めることができれば、本来の自分の力を発揮できるようになります。本コラムが、日本人のみなさんがグローバルなビジネスの現場でより高いパフォーマンスを発揮するための足掛かりになれば嬉しいです。

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