座談会

2021.11.05

自社へのオンボーディング、社会へのオンボーディング ―2022年の新入社員研修への展望(後編)

  • b! はてぶ
小西 功二 Koji Konishi
小西 功二 サイコム・ブレインズ株式会社
ディレクター

新型コロナウイルスが日本を襲った2020年春。そして感染拡大の第3波が起こった2021年春。その間、企業はリモートシフトと同時進行で2度にわたり新入社員の受け入れを行ってきました。配属前研修やOJTなど、あらゆる点においてオンラインでのコミュニケーションが中心となった会社も多いのではないでしょうか。その中で、単に新入社員の知識やスキルだけでなく、自律して仕事をすることへの動機づけや会社への帰属意識の醸成など、最近よく言われるようになった「オンボーディング」の観点からの課題が少しずつ浮き彫りになってきました。今回は、新入社員・若手社員の研修を数多く支援してきたサイコム・ブレインズのコンサルタント3名が、これらの観点からコロナ禍以降の企業の状況を振り返り、2022年度の新入社員研修への展望を話し合いました。

本対談は新型コロナウイルスの感染リスク軽減のため、オンラインで実施いたしました。

詰め込みから、分散して節目でフォローへ。自由な研修設計の可能性に目を向けていきたい

  • 小西 功二
    コロナ禍が長期化する中、当面のリモートワーク継続を決定する企業や、自社ビルを売却する企業も出てきています。22年度の展望を考える上では、物理的な距離があることはもはや前提にした上で、組織や現場とのリアルな接点をどう作るか、企業と人事はフォローの方法を考えなければいけません。
  • 齊藤 彩
    ワクチン接種も進みましたし、22年度の新入社員研修については、コロナ前のように、ホテルや大型の会場に1週間缶詰めにすることも視野にいれて悩む人事の方も多いと思います。一方で、そのような研修運営がマストではないことも20年度と21年度で経験しています。缶詰にする代わりに半日や短時間のオンライン研修を頻繁かつ定期的に実施することもできる。あるいは、早めに集合研修を切り上げて配属先に送り出し、その後のフォローをしてあげることもできる。そうすることで、人事は新入社員の様子を見ることができて、新入社員本人も現場のことがわかる。22年度はこのような研修設計も可能になると予測しています。
  • 小西 功二
    会場の確保などのコストの関係上、これまでは、できるだけ限られた時間で詰め込んでいた研修を、リモートだと分散できますよね。もう少し幅広い期間で、より頻繁にアプローチすることによって、知識や学びを段階的に植えつけていくことができますし、学習の面でも効果的です。
  • 中澤 悠希也
    この1年半で、時期を分散した研修のメリットを実感している人事の方も多いのではないでしょうか。「ここからここまでの時期は研修期間」「ここから先は配属期間なので、研修はなし」と厳密に区切るのではなく、研修と配属、配属後の実践とが混じり合うような研修は、リモートワーク前にはできなかった新しい切り口ですし、新入社員と人事の双方にとって良い形だなと思います。
  • 齊藤 彩
    これまでイベント的だった新入社員フォローを、オンライン上で長期にわたって継続することも可能になりました。入社2年目3年目までを見越して、計画的にラーニングを組んで面倒をみてあげても良いですよね。新入社員は奇数の年が節目になり、何かと転機になりがちです。ですから、1年目の終わりにフォローアップ研修をするとか、3年間のスパンで業務やキャリアを考えさせて成果発表会をさせるとか。節目の年に支援の手を入れてあげると効果的かもしれません。
    私が担当しているメーカー様では、新入社員が配属されてから約1年後に、自身が取り組んだことについての成果発表会をおこなっています。その中で「コミュニケーションがうまく取れない」「段取りが難しい」という声が出ていたので、翌年度以降は、入社1~2年目にかけて、コミュニケーションや段取り力の研修を受けさせるようにしました。早い段階からスキルを与えておけば、一段レベルの高い失敗が出来るんじゃないかという狙いです。
  • 小西 功二
    確かに、節目節目って何かを一旦立ち止まって振り返るには、いいタイミングですよね。そして、その節目をどこに置くかについて、オンラインを交えるとこれまで以上に柔軟なアプローチができるので、固定観念を外してもいい気がします。今まで企業が「集合するならこのタイミングで」と制約に縛られていたものを、もう少し自由度高くデザインできるような気がしています。新入社員の個別の事情にも対応がしやすくなりました。まあ、どこまでコストをかけるかというのもありますけれど。

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