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座談会

2018.08.07

ATDラーニングチームで体験した、人事としての仕事観・人間観に対する深い気づき

  • b! はてぶ
宮下 洋子 Yoko Miyashita
宮下 洋子 サイコム・ブレインズ株式会社
ソリューションユニット コンサルタント

脳科学が示す方向性は、人間の本質、自然の摂理への回帰?

宮下、本間、東野、八木
  • 宮下 洋子
    ここ数年のATDで特に注目を集めているトピックといえば、やはり脳科学だと思います。「人事・人材開発で脳科学を活用していこう」というこの流れについて、皆さんはどのように捉えていますか?
  • 本間 理恵
    脳科学の話は結局、「人間を知って、いかに行動変容に合理的につなげるか」とか、「脳の働きを知って、いかに効果的に研修をやるか」とか、そういうことだと思ったんです。私には専門知識がないのでよくわからないのですが、人間って脳も意識も行動も全てつながっていると思うし、全てが有機的に動いているはずなんですね。

    人事もそうじゃないですか? 研修をやるのが目的ではなく、会社と社員個人のパフォーマンスを上げるのが目的なので、人間と人間の関係性、自然の摂理みたいなことを考ようと。だからATDを通して組織開発みたいなことにも関心を持ちましたし、帰国後のレビューセッションでは「土を耕してから種を植えたい(=組織開発をしてから研修をしたい)」という話もしました。
  • 八木 洋介
    自然の摂理…すごくいい気づきだと思います。僕が人事をずっとやってきた中ですごく大事にしているのが、「社員は普通の人」ってことなんですね。普通の人なんだから、当たり前のことをきちんとやるのが一番大事で。じゃあ、「その当たり前って何?」「自然って何?」を考えていく。脳科学が進んで人間に関するいろいろな発見があるわけですが、それって実は、今まで我々が考えてきた「人間ってきっとこうだよね」ということが、科学で証明されただけなんですよね。
  • 東野 敦
    社員の脳内に良い物質を出すために必要なことは、案外「毎日声をかける」ことだったり。やるべきことは基本的なことなんだなって思いますね。昔から諸先輩方に教えられたこと。だから既に証明されていることについてはあまり深く考えずに、とにかく早くやってしまった方がいい。使えるものは使って、いかに我々のアウトプットを早く出すかっていうことが大事だなと。テクノロジーを使っても、やっていることは基本なんだということが、一つひとつ整理できた気がします。
  • 八木 洋介
    ジャレド・ダイアモンドが書いた『鉄・病原菌・銃』という本があったでしょう? 他にもユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』とか。10万年から20万年前に、アフリカのサバンナで、毛も生えていない力も弱い人間が狩りをして生きている。その頃の脳が進化せずに生きている。こんな本が世界中で大ベストセラーになって、人事担当者とかが読んでいるんですね。

    要は、「生きていくためには元気で働こう、しのごの言うな」というところに戻っている気がするんです。本間さんのいう「自然の摂理」ですよ。企業は何をしているかというと「狩り」でしょう? 楽しくなんかないんですよ、もともとは。でも、サバンナで力の弱い人間が狩りをしようと思ったら、一人ではできない。チームで狩りをする。そのためには目標があって、皆が一つの方向に向う方がいいじゃない。昔はそれを証明できないから、トーテムポールのようなものを作って、神に拝む。ビジョンやミッションが大事という、現代の企業とすべてつながるんです。「経営や人事はそういう原理原則に戻ろう」といっているように、僕には見えるんです。
八木洋介 氏
八木洋介 氏
  • 本間 理恵
    ATDのオバマさんの講演からも、そういう流れを感じますね。「正直である」とか「人の役に立つ」とか、「一所懸命働く」とか。自分が親から教えられたような当たり前でシンプルなメッセージでしたが、私にはすごく響きました。
  • 東野 敦
    それにしては、人事は難しくなり過ぎましたよね。
  • 八木 洋介
    だから、普通の人にわからないような人事をやったってダメなんですよ。
  • 本間 理恵
    人事のシステムも、だいたい難しくて使いづらいとか言われますよね。制度も規程を何度も読まないとわからないとか。だから今回の私の一番の収穫は、「当たり前を考え、学び続ける」ということなのですが、帰国後に社内で報告もしましたけど、これを伝えるのがなかなか難しい。
  • 東野 敦
    現地で感じた迫力が伝わらないんですよね。
  • 本間 理恵
    迫力も伝わらないし、「当たり前のことをね…」とか「オバマがね…」といっても、「それって、当たり前じゃん?」って(笑)。
  • 八木 洋介
    ATDや我々のチームという「場」やその場の雰囲気が、点でしかないナレッジをつないで一つのストーリーを紡ぎ出すって、これは体験しないとわかりませんよ。チームの皆がATDに行ったことによって、「人を見る目ができた」「人事観ができた」、場合によっては「人生観が変わった」とか言っているのって、そういうことだと思う。我々と同じように感じて帰ってきた人は、そうはいない。我々のチームの特殊性って、すごくあったと思うよ。
  • 宮下 洋子
    今回皆さんと参加して、シンプルで当たり前のことを本当に心から信じられるように、私も考え方が変わったように思います。やはりあの場のダイナミクス、そして試行錯誤した濃密な時間によるものだと。2年前よりもすごく楽しかったです。来年もこの企画を担当することになると思いますので、他の方にも是非我々のラーニングチームに参加して欲しいです。

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