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対談

2019.02.08

チェンジマネジメントの視点で読み解く、働き方改革とこれからのリーダーシップ ―電通国際情報サービス 今村優之氏 (後編)

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宮川 由紀子 Yukiko Miyakawa
宮川 由紀子 サイコム・ブレインズ株式会社
シニアコンサルタント

明日は困らないが、何もしなければ10年後には確実に困る課題

  • 宮川 由紀子
    今村さんのセッションもそうですが、今回のATD Asia Pacificでは様々なテーマにおいて「エンゲージメント」という言葉が目立っていたように思います。
  • 今村 優之
    毎年参加していますが、ここ3年くらいでしょうか。たとえば「エンゲージメントをどう測るか?」といったテーマがホットですし、言葉の頻度は高まっているような気がします。日本でもここ何年かで一般化してますよね。
  • 宮川 由紀子
    テクノロジーがどんどん進化している。それによってラーニングも個々人に最適なものが提供される。ではこれからのリーダーは、リーダーシップはどうあるべきか?については、すごくベーシックなメッセージが多いですよね。「メンバーのエンゲージメントを高めよう」「ちゃんとコーチングしよう」「ビジョンが大切だ」とか。テクノロジーがどう進化しても、ソフトの部分、人間的な部分、モチベーションみたいな根本的な部分は変わらないので、その辺をきちんと、今村さんが行ったサーベイのようにデータで見える化して、詰めていかなければいけないんだなと思いましたね。
  • 今村 優之
    日本企業は昔から「ロイヤリティが高い」ということが前提で、様々な施策が打たれていたと思います。しかし、日本の中でも色々な働き方や多様な人材が出てきて、ひとつの価値観で会社にコミットということは、多分もうないと思います。その人が何にモチベートされるのか、何故その会社で働きたいと思うか、それはかなり多様なんですよね。そこにもっと目を向けていかないと、それこそ労働人口が減っていく中で、明日は困らないかもしれないけど10年後は相当困っているだろうな、ということはすごく感じます。
  • 宮川 由紀子
    エンゲージメントを高めようというときに、まさに上司・マネージャーの果たすべき役割は大きくて、職場が多様化している分、ますますチャレンジングな状況にあると思います。
  • 今村 優之
    そうですね。その人たちがどう動くかによって、企業のカルチャーはかなり変わってくると思います。我々も部長研修や新任マネージャー研修をやっていますが、今後は少し観点を変えてもいいのかなと。今までも「部下を育成する」とか「力を引き出す」という意味合いが全くなかったわけではありませんが、旧来のピラミッド型の組織の中で人を動かすというのが前提のカリキュラムだったと思います。今後はもう少し個々の感情や価値観を意識して、引き出して、いかに仕事のパフォーマンスを上げるか、という側面がもっとあってもいいのかなと思って、そういうプログラムをやりたいなと考えています。
  • 宮川 由紀子
    これまで自社の働き方改革をリードされてきた中で、今村さんご自身のリーダーシップに対する考え方に変化はありましたか?
  • 今村 優之
    本当にいろんな人たちがいるんだな、というのをあらためて感じました。働き方は、突き詰めていくとその人の生き方そのものです。もちろん人事ですから、これまでもそういうことは意識していましたが、やっぱり自分の価値観の中で見てしまっていたところがあります。自分自身がマネジメントの立場になったときに、その人の良さを引き出してあげようということを、心の底から思うようになりましたね。その人にちゃんと期待をして、信じてあげる方が、その人のパフォーマンスも上がるし、逆に自分も楽になるんだと思えるようになりましたし、そういう変化が自分の中でありましたね。ワークスタイルイノベーション室という組織も、働き方改革が進んでいけば、どこかのタイミングで発展的になくなるのではと思います。このような組織がなくても、マネージャーの意識とか、現場での取り組みが自然と回る仕組みにしていくことが私の宿題だと思っています。

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