タレントマネジメント 「DX人材」のコンピテンシーって、言語化できますか?
― 人材アセスメント、組織サーベイの今とこれから(前編)

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対談

2019.11.27

江島 信之 Egima Nobuyuki
江島 信之サイコム・ブレインズ株式会社
ディレクター / シニアコンサルタント

単なる評価ではなく、「気づきから行動変容が生まれたか」を評価する

  • 江島 信之
    ​今でこそ多くの日本企業が360度フィードバックを導入していますが、360度で解決したい課題には大きく分けて2つあって、そのひとつは「評価」、もうひとつは「能力開発」だと思います。

    「評価」の場合は、たとえば1日から2日間かけてセルフアセスメントを受診させたり、ディスカッションやロールプレイの様子をアセッサーが行動観察するなどして、昇格者を候補者の中から見極める。いわゆる「アセスメント・センター」を実施したい、というご相談を近年多くいただくようになりました。「能力開発」の場合だと、「管理職研修と併せて360度を」というケースも多いですね。
  • 岡 祐介
    我々としても、今はその能力開発の部分、社員が自分自身を振り返る、いわゆる「気づき」のために活用している企業さんがほとんどですね。弊社でいうと8割くらいはそうだと思います。その中でもやはりマネジャー層の案件が一番多いです。たとえばプレイングマネジャーの場合、プレイヤーとしてのパフォーマンスはもちろん大事なんだけど、マネジャーとしてもリーダーシップを発揮したり、これまでとは違う役割・行動が必要です。そこで上司や部下から360度フィードバックを受けることで、気づきのきっかけを得る。ご相談をいただくときに、最初は昇進・昇格者を決めるため、評価のために使いたいという場合でも、だんだんと「単に人を評価する、その数字をそのまま使うというのは、少し乱暴な使い方なんだな」と理解していただくことも多いです。
  • 岡 祐介
    ただ、評価に全く使わないかというとそうではなくて。取り組む姿勢、たとえば「行動を変えなければいけない」と気づいて終わりじゃなくて、組織や個人としてどうコミットするか、行動計画に落とし込んで、「その後行動したか」とか「どう変わったか」ということを評価する、といった流れになってきていますね。「気づきを持ってもらうためにやるんです」ということを、最初から明確にしている日本の会社が徐々に増えてきたのは、ここ3~4年くらいだと思います。
  • 江島 信之
    自分の普段の行動って、いつも鏡に映してチェックしているわけではないですし、たとえば野球やゴルフのスウィングも、自分では正しいフォームのつもりが、録画したものを見ると自分のイメージとは全然違うことって、あるじゃないですか。「ひゃーっ、カッコ悪い!恥ずかしい!」みたいな。仕事もそれと同じなんですよね。

    360度だけでなくアセスメント全般に言えることですが、なにも手掛かりがないところから自分自身について内省しろ、といわれても難しいですよね。だから「これは内省のツールなんです」とお伝えするようにしています。360度を実施するときに、結果を上司に配って後は任せています、という会社もよくあるじゃないですか。それはちょっと効果的にどうなのかなって思います。
  • 岡 祐介
    普段は上司から評価を受けているけど、それ以外の人、もっと現場感のある同僚や部下がどう感じているかを知ることで内省が始まるわけで。その結果をただ上司に配るだけ、あるいはトレーニングされていないフィードバックの方法で本人に伝えてしまうと、結局上司の説得材料にしかならないし、受け手としては懐疑的になってしまう。それでは会社側が本質的に求めている気づきや行動変容につながっていかないと思います。