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対談

2021.04.19

経営に資するダイバーシティ推進。人事はもっとオーナーシップを発揮できる ―これまでの女性を中心としたダイバーシティ推進の振り返りから、タレントマネジメントの本質へ(後編)

  • b! はてぶ
齊藤 彩 Aya Saito
齊藤 彩 サイコム・ブレインズ株式会社
ソリューションユニット コンサルタント

「多様性を経営に活かす」――誰もが疑わない大前提を、いかに具体的に体現するか?

  • 齊藤 彩

    女性活躍推進や、それを目的とした研修のご相談をいただく際に、「社内で葛藤がある」という企業様がいらっしゃいます。「なぜ女性だけ?」とか「女性だから下駄をはかされていいね」とか、やっかみに近いようなこともあるんですね。ただ、その企業が目指しているのは「一人ひとりの特性・強みを活かして、全員が活躍すること」と言うと、これに対しては誰も異論はない。女性活躍推進はあくまでもその第一歩だと思うんです。

  • 太田 由紀

    そうですね。残念ながら、日本ではまだまだダイバーシティ推進は女性活躍推進という狭い定義で受け止められがちです。もちろん女性活躍推進は大切ですが、手段であって目的ではありません。企業様を支援する中で私がお伝えしているのは、「ダイバーシティ推進は経営に寄与するものである」ということです。組織の中に多様な人材がいることでオピニオン・ダイバーシティ(意見の多様性)が生まれ、経営の意思決定に影響する。一人ひとりの異なる特性・強みが最大限に発揮されることでイノベーションが生まれ、企業が持続的に成長できる。つまるところ、ダイバーシティ推進というのは多様な人材のタレントマネジメントであって、本質的に経営に資するものでなければいけないんです。

  • 福島 竜治

    PXTの活用現場ではよく「パフォーマンスモデルとギャップのあるスコアが出たとしても、それを単に課題と決めつけず、その人の良さとして再確認してください」とお伝えしています。組織の中には、目下の戦略や理想像に必ずしもフィットせず、外れている人もいるかもしれない。でも、そういう人が持っている特性は、この先その企業が目指す大きな方向性や環境変化の中で、強みとして活きてくるかもしれない。それらの多様な特性を担保していくということもタレントマネジメントだと思います。

  • 太田 由紀

    そのようなタレントマネジメントのためには、やはり、一人ひとりの特性が見えないといけません。「みんな違ってみんないい」と言っても、どこが違っているのか実は見えていない。異なる特性や意見を持つ人たちが、どのようなタイミングや役割、場所で動くと最も輝くのかを、アセスメントを活用しながら考えることが大切です。

  • 齊藤 彩

    ある大手化粧品会社様でPXTを用いたダイバーシティ研修を実施しました。新入社員とその上司あわせて約70名にPXTを回答してもらい、自身の特性や部下の指導方針についてのディスカッションを行いました。同社は世界中に販売拠点をもつグローバル企業でダイバーシティが進んでおり、外国籍の方、障害者の方など、実に多様な社員の方がいます。多様なんだけれども「上司としてのこの人、部下としてのこの人」を測る指標は共通です。目に見える属性をすべて取り払って、スコアで個人の特性・強みをフェアに見るというのはすごく良いですよね。それが本当のダイバーシティであり、企業が目指しているところじゃないかなと思います。

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