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コラム

2023.02.02

学習者の“学習体験”を重視するラーニングエクスペリエンスデザイン【LXD概論】

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小西 功二 Koji Konishi
小西 功二 サイコム・ブレインズ株式会社
ディレクター

LXDの本質、デザインの意義

自律的キャリア形成を前提とすると、「今、何を学ぶべきか、どんな知識やスキルを身に付けるべきか」という学習の主体は、人事部門から従業員へと移転します。LXDの本質はここにあると考えています。

人生100年時代に“Reskilling(学び直しを経て、新しい業務や職業に就くこと)”を繰り返しながら、自身のキャリア形成に長期で向き合うならば、学習に対するオーナーシップを従業員が取り戻すことは、歓迎すべき自然な流れです。

だからと言って、人事部門が社員教育を半ば放棄し、社員個人の主体性と自律性に多くを委ねるのは悪手です。多大なコストをかけて、手上げ式の研修やe-ラーニングのラインナップを充実しても、資格取得の費用を会社負担としても、思うように学習を促すことも、優秀な人材を育成することも、離職を食い止めることもできないでしょう。

また、個人の好き嫌いに任せて無計画に学習を進めると、学習効果は確実に下がります。学習へのモチベーションは当初高いかもしれませんが、効果が思ったように上がらなければ、維持することは難しくなります。自己啓発の進捗に社員間でバラつきが生じるのはこのためです。物事を理解して身に付けるためには効果的な学習順序、体系が必要で、自己啓発が上手な学習者は、これらを意識して学習を計画しているのです。

要するに、人材育成の『デザイン』、つまり「何を目的として」「いつ」「誰に」「何を」「どこで」「どのように」学ばせるかのデザインが重要なのです。ITテクノロジーの活用を前提に、学習者の『自律性の尊重』と『主体性の喚起』を考慮した、一連の学習体験をデザインするのが、ラーニングエクスペリエンスデザイン(LXD)です。

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