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コラム

2023.02.03

学習者の“学習体験”を重視するラーニングエクスペリエンスデザイン【LXD設計のポイント】

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小西 功二 Koji Konishi
小西 功二 サイコム・ブレインズ株式会社
ディレクター

ラーニングジャーニーに旅程を

ところで、人材育成の領域には「70:20:10の法則」という経験則があります。米国のロミンガー社が「何がリーダーとしての成長に役に立ったのか」を調査し、その結果から導いた経験則です。それによると、70%が仕事経験を通じた学習、20%が他者とのやり取りを通じたインフォーマルな学習、残り10%が研修などのフォーマルな学習、という結果が示されています。

しかしながらこの法則の比を、ラーニングジャーニーのデザインにそのまま当てはめることはお勧めしません。これはあくまでも結果論の一つであり、学習者ごとに異なる学習選好を考慮したものではないからです。加えて、仮に学習におけるフォーマルラーニングの貢献が10%として、タッチポイントもそれに応じて設計してしまうと、フォーマルラーニングの機会はますます先細っていくでしょう。

要するに「70:20:10の法則」は、フォーマルラーニングを実務から遊離した「お勉強」にしてはいけないことを強く警告しているのだと、私は解釈します。フォーマル、ソーシャル、即時的学習の全てを包含したラーニングジャーニー全体の設計を、実務体験に即した『ラーニングジャーニー』として設計することの大切さを説いているのだと考えます。

旅路には旅程が必要不可欠です。同様に、LXDは学習資産をばらまいて、学習者の好みに任せて無計画・無秩序に学習させることではありません。人材育成には組織の意図があり、リターンが求められるからです。LXDでは、効果的な学習の手段として「学習者の選好」を考慮しているのであって、全体としてはある程度の自由度を確保しつつも、意図をもってラーニングジャーニーをデザインしているのです。

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