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対談

2021.04.08

「求める人物像を定める」ことと「多様な人材を活かす」は相反する? ―これまでの女性を中心としたダイバーシティ推進の振り返りから、タレントマネジメントの本質へ(前編)

  • b! はてぶ
齊藤 彩 Aya Saito
齊藤 彩 サイコム・ブレインズ株式会社
ソリューションユニット コンサルタント

今の私に期待されている役割は?——アセスメントは何度も見返すことで個々の社員の行動が変わっていく

  • 太田 由紀

    PXTでは、「導き出されたスコアは基本的にはあまり変化しないもの」という説明がなされています。そのため、特性が変化しないのだとしたら、育成ツールとして使えるのかと悩んだ時期もありました。今は「特性が変わらないとしても、行動を変えることはできる」と認識していて、研修でもそのように受講生に説明をおこなっています。

  • 福島 竜治

    おっしゃる通りです。自身のポジション・職務に期待される内容に合わせて行動を変えることを、よく「役割期待」なんて言いますよね。たとえば、ある新規開拓営業パーソンの「社交性」スコアが3だったとします。3という数値自体は良い悪いではないけれど、会社や仕事環境は8、9、10くらいを求めているとする。そういう時に、会社や環境が求める方向に自分自身をストレッチさせ、行動を変えることはできます。自分の今の立ち位置と目指す方向性がわかると、何が苦しいのか、どこに向かって頑張れば良いのかがわかる。それが大事なんです。

ProfileXTのレポート(一部抜粋)。とある会社の営業サポート職の理想像と回答者の特性がどのくらい適合しているかを示している。メンバーの1から10のスコアのうち青色で示された範囲はパフォーマンスモデル。大きく表示された数字は回答者のスコア。黄色の数字はパフォーマンスモデルと回答者のスコアにギャップがあることを示す。
  • 齊藤 彩

    私たちは日々仕事をするなか、自分のポジションや役割への期待を考えて、行動を振り返ったり、変えたりしていますよね。私自身も、仕事のさまざまな場面で、自分のこれまでのキャリアや、社内での立ち位置などと関連づけながらPXTのスコアをふと思い出しては見返しています。「自分にはこういう特性があるから、今この仕事を任されている」「今のポジションで周囲に求められているのはこの部分だから、もっと頑張らなくては」と気づいたり、分析したり。PXTって、回答して結果を見てそこで終わりではないんですよね。その後も業務を続ける中で繰り返し見てジワジワくるというか。自分もそうですが、多くの女性にとって自分自身の行動に納得したり意味づけを行うことが自信につながっていて、そういう用途で役に立つツールだと思います。

  • 福島 竜治

    齊藤さんのように何年も見返して内省していただくというのは、PXTの正しい使い方なんです。このアセスメントが可視化するのは、その方の強みの源泉です。数字に良い悪いや合否があるわけではなく、全て正しい。正しさ・強みが人によって違うんです。たとえば、「エネルギー」のスコアが1から3ぐらいの人は、マルチタスクではないけれど、ひとつのことにコツコツと取り組むことができる強みを持っています。自分にはこういう強みがあるんだなと気づくために使います。

  • 太田 由紀

    「行動を変える」というのは、自信をもちにくい女性にとって、実践しやすい考え方だと感じています。リーダーシップ研修などで、「自分はリーダーになれない」とおっしゃる女性の受講者が非常に多いのですが、そのような方々に「リーダーになれないとしても、演じてみるのはどうですか?リーダーとしての行動をすべてとれなくても良いので、何か一つだけでも演じてみましょう」と伝えると、皆さんものすごく気が楽になるみたいですね。変わることはできなくても、演じる、つまり行動を変えることならできる。実は、私はPXTの「社交性」が3、つまり、どちらかというと他の人と一緒に活動するよりも一人で作業に取り組むことを好む傾向にあるのですが、これを職場のメンバーに話すと、みんな「意外だ」とびっくりします。自分の仕事での役割上、普段から「いろんな人に話しかける」という行動を意識的にとっているので、周囲には「社交的な人物」だと思われているんですね。このように、やってみると効果がわかるから、必要な場面で意識して取り組んでいます。

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