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対談

2023.11.16

30代働き盛りの男性コンサルタントが育休を取った時、上司が行ったこと 「男性育休」取得者と上司へのインタビューから考える、Well-being(前編)

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太田 由紀 Yuki Ota
太田 由紀 サイコム・ブレインズ株式会社
取締役

育休取得は、男性であっても適切な準備さえすれば「別になんてことはない
当たり前のこと」

  • 太田 由紀
    引き継ぎ先が決まった後は、今西さんが担当者と個別に引き継ぎをおこなっていたと聞いています。何か、引き継ぎのモニタリングみたいなことはしていましたか?
  • 江島 信之
    もちろんです。メンバーと毎月1回、1on1を必ずしていましたし、そういう場でなくともウェルカムなので、「引き継ぎ順調?」「困ったら言ってね」「何かあったら手を打つよ」など、声かけをしていました。
  • 太田 由紀
    引き継ぎは、おおむね順調にいっていたという印象でしたか?
  • 江島 信之
    後になってから「実は困っていた」という声はありました。ただ引き継ぎ中に、メンバーからヘルプを求められることもなかったし、育休期間中に、今西さん本人への連絡が必要になるようなトラブルもありませんでした。困ったことがあっても、自分たちで解決するようにしていたのだと思っています。

    NOTE:育休取得者と周囲とのコミュニケーションを促し、スムーズな引き継ぎをサポート…上司が行うこと③

    引き継ぎがスムーズかつ充分になされるためには、当事者同士に任せるだけでなく、上司から適宜声掛けをおこない、いつでもサポートする意思をこまめに伝えることが大事です。育休取得者と周囲との、育休前のコミュニケーションが上手くなされることで、育休中の業務がスムーズに回るのみならず、育休取得者の戦力としての復帰がよりスムーズになります。

  • 太田 由紀
    部内のメンバーには、江島さんから、今西さんの育休についてお知らせしたと思うのですが、このような知らせに対し、人それぞれ、様々な受け取り方がありますよね。これについて、何か意識したり、気を遣ったりはしましたか。
  • 江島 信之
    実はそれは全く気にしなかったんですよ。当時、部署のメンバーの過半数には子どもがいましたし。またちょうど、「産後パパ育休制度」がスタートするタイミングだったこともあり、仕事柄、そういう話題が出始めるころでした。

    あとは、日頃、我々がお付き合いしているのは主に大手企業様なので、商談の中でも「すでに男性社員が育休をとっている」というような話題が当たり前に出てきます。ですので、何か特別な配慮をしたということはないですね。
  • 太田 由紀
    何か、メンバーから、日々の会話や1on1でネガティブな話が出てくることも特にありませんでしたか?
  • 江島 信之
    そりゃ、個別に言いたい人は言いますよ。でも、組織や業務上の事柄について、メンバーが疑問や気になることを率直に言うのは、別にこのトピックに限った話ではありません。私は「男性が育休をとることについて、別になんてことはない当たり前のこと」という温度感で思っています。
  • 太田 由紀
    「なんてことはない当たり前のこと」。確かにそうかもしれないですね。また当社には、部門にも、会社全体としても、仮に相手が上司であっても、わりあい「言いたいことを言いやすい」文化がきっとあるんでしょうね。
  • 江島 信之
    私に対しても、言いたいことがある人はガンガン意見を言ってきますからね。でも、そういう意見も全然言ってもらっていいと思っているので「言ってね」と言っています。

    NOTE:性別役割認識にまつわる「アンコンシャス・バイアス」により、育休取得へのハードルが上がってはいないかを意識し、その緩和を働きかける…上司が行うこと④

    2020年に当社が実施した意識調査(※)では、男性育休自体は肯定するも、実際の取得は困難と感じる男性が少なからず存在していることがわかりました。理由として「育休を取りにくい雰囲気がある」と多くの男性が感じており、これには「仕事、キャリアへの意識が低いと見られる」「男性なのに育休を取るなんてと思われる」「引き継ぐ人の仕事量が増え迷惑をかける」など、組織、周囲からのネガティブな評価への恐れも含まれます。

    女性が育休を取得するケースと比較し、「男性だから」という理由で上述のネガティブな反応や評価がより強く懸念される場合、職場や本人に、性別役割認識に関する「無意識の偏見」があると言えます。性別に関わらず育休取得を申し出やすい職場をつくるためには、会社や上司が日頃から率先して、“男性だから、女性だから”といった思い込みを外すための働きかけや、チームの誰もが自身の考えを述べることができる心理的安全性の高い環境づくりをおこない、地道に意識変革をおこなっていく必要があります。

    ※サイコム・ブレインズ「第4回無意識の偏見に関する意識調査 2020年」

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