コラム

2023.08.15

いかにしてDX人材を育てるか ~「デジタル」×「データ」×「ビジネス」の3つのリテラシーを高める~

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小西 功二 Koji Konishi
小西 功二 サイコム・ブレインズ株式会社
ディレクター / シニアコンサルタント

DX人材に求められる3つのリテラシー

図表1で示している①プロデューサー、②ビジネスデザイナー、③アーキテクトに共通して求められるのは、「デジタルリテラシー」「データリテラシー」そして「ビジネスリテラシー」です。

第一に、デジタルリテラシーとは、「デジタル技術を使って何ができるかが分かっている」ということです。昨今のデジタル技術の概要やビジネスへの活用方法について、事例として知っていることが重要で、ITリテラシーとは次元が違います。例えば、AIとは何であって、何ができて、一方で何ができないのか、さらにビジネスへの活用事例まで知っていると、「デジタルリテラシーが高い」となります。

第二に、データリテラシーとは、「どのようなデータがあれば何が分析できるかについて、仮説が立てられる」ということです。一定程度の統計学に関する知識を持っていることが理想的ですが、少なくとも「データからメッセージを読み取るセンスがある」「表計算ソフトを使ってデータ分析したり、データを可視化することができる」ことは、最低限求められます。例えば、営業支援システム(SFA)からデータを抽出し、営業部隊の課題傾向とその改善方法を指摘できると、「データリテラシーが高い」となります。

第三に、ビジネスリテラシーとは、「ビジネスを構想する力」であり、3つのリテラシーの中で最も高度な能力と言えそうです。新規のビジネスモデル(誰に、何を、どうやって売るか)を創造したり、既存のビジネスモデルを変革したりすることで、顧客価値を創造することが求められます。マネタイズも考慮する必要があり、一定程度の会計知識も必要になります。社内外のステークホルダーに分かり易くプレゼンテーションしたり、粘り強く交渉したり、時には根回ししたりという、高度なコミュニケーション能力も求められます。

以上3つのリテラシーは、DXの①プロデューサー:構想者か、③アーキテクト:仕組みの実装者か、あるいは②ビジネスデザイナー:両者の仲介者かによって、求められるリテラシーには多少の濃淡が出そうです。各DX人材要件に当てはめて濃淡をつけたのが、図表2です。

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