コラム

2022.01.20

そのKPIの使い方、実は目標達成に貢献していない? ~営業部門のためのKPIマネジメント再考

  • b! はてぶ
小西 功二 Koji Konishi
小西 功二 サイコム・ブレインズ株式会社
ディレクター / シニアコンサルタント

営業のどの行動が「Key」なのか?プロセスの徹底分解で分かること

では、KPIをうまく設定するためには、どうすればよいでしょうか。結論から言えば、自社の営業プロセスを合理的に分解することが非常に重要です。先ほどの自動車販売店を例に、詳しく見ていきましょう。

「受注」という営業上のゴールから逆算で営業活動をプロセス分解していきましょう。受注するには、その手前の営業活動として「見積書」を提示する必要があります。金額を見もせずに高額な自動車を購入する顧客はほとんどいないからです。では、見積り提示の前にある営業プロセスは何でしょうか。乗り換えの場合は、マイカーの下取り価格が気になりそうです。だとすると、マイカーの下取り価格を算出する「査定」という営業活動が見積り提示の前段階に位置付けられます。査定の前の営業プロセスは何でしょうか。実際には多少前後するかもしれませんが、先ほどから述べている「試乗してもらう」という営業活動を当てはめてみましょう。では、試乗の前の営業プロセスは何でしょうか。「展示車に触れてもらう」「展示車について解説する」という営業活動が妥当ではないでしょうか。

展示車の説明をしようとするならば、当たり前ですが「来店」いただく必要があります。便宜上、新規来店客を除けば、来店誘致が展示車の説明の前の営業プロセスになります。では、来店誘致の前の営業プロセスは何でしょうか?「新型車発売の案内」をすることかもしれません。「見込み客に電話を掛ける」「直接訪問する」ことが、具体的な営業活動になります。見込み客を適切に洗い出すには、自社の顧客リストを精査する、例えば「車検前の顧客の洗い出し」などが、営業プロセスとして挙げられますが、この手前でとどめておきましょう。以上の営業活動を受注というゴールに向かう営業プロセスとして順に並べたのが以下の図になります。

営業プロセスが確定したら、それぞれのプロセスで「活動の量を測るKPI」と「活動の質を測るKPI」が設定できます。例えば、見込み客に来店のためのアプローチをする件数が活動の「量」のKPI、そのうち実際に来店いただけた顧客数を割合で表したものが活動の「質」のKPIとなります。営業プロセスが合理的に分解できていれば、KPIはかなり効果的に設定できます。

RELATED ARTICLES